3 環境影響評価の推進


  環境汚染が発生してから事後的に対応するのではなく,環境負荷の発生を事前に抑止する未然防止の重要性が大きくなってきている。環境汚染の未然防止を図るための措置として,一定の計画・事業の実施に当たっては,それが環境に及ぼす影響の内容及び程度について事前に調査,予測及び評価を行うとともに,これに対する地域の意向を十分に把握して,所要の環境保全上の措置を講ずるものとする環境影響評価の実施を推進する必要がある。
  このため,昭和47年6月の「各種公共事業に係る環境保全対策について」の閣議了解及び公有水面埋立法等に基づき,従来から一定の運輸関係計画・事業については環境影響評価が行われ,環境保全に対する配慮が払われてきた。例えば,新関西国際空港については,51年度より環境影響評価のための調査を進めており,近く評価書案を取りまとめ,空港計画案等とともに地元関係府県知事に提示することとしており,整備5新幹線鉄道については,54年1月運輸大臣から国鉄及び日本鉄道建設公団に対し環境影響評価の実施について通達が出され,これに基づき国鉄等は環境影響評価を進めているところである。
  一方,環境庁が中心となって進めている環境影響評価の法制度化については,55年3月に環境影響評価法案に関する関係閣僚会議が設置される等政府部内において鋭意検討が進めらた。
  今後も空港,港湾等の運輸関係諸施設の適切かつ円滑な整備を図ることが緊要であるが,これらの整備に際しては,環境保全上の問題を惹起しないよう,更に環境影響評価の着実な推進及び実施体制の整備充実を図っていく必要がある。


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