2 国際輸送
まず,国際貨物輸送のほとんどは外航海運によって担われている。海上貿易量をみると,昭和44年は輸出3,683万トン,輸入3億8,773万トンであったが,54年はそれぞれ,7,606万トン,6億1,849万トンと倍増している。輸出品目では鉄鋼,セメント,機械,乗用車等が多く,輸入品目としては,鉄鉱石,石炭,石油,木材等が中心である。このように,貿易量の拡大を通じて,一層我が国と諸外国との国際的依存関係が強まりつつある。
次に,我が国商船隊の積取比率をみると,44年は輸出56.5%,輸入60.8%であったが,54年はそれぞれ,52.3%,73.0%となっている。しかしながら,我が国商船隊に占める邦船の割合は低下傾向にある。また,我が国の外航船腹保有量は,44年央1,424隻,1,926万総トン,貨物船と油送船の比率は6:4であったが,54年央には1,188隻,3,334万総トンで貨物船のウエイトが低下している。これは,油送船を中心に外航船舶の大型化が進んだためと思われる。
一方,海上コンテナ輸送の開始等,外航船舶によるコンテナ化,専用船化も著しく,また外貿港湾の整備,荷役の機械化・近代化等も進展している。 次に,量的には極めて少ないが,国際航空貨物輸送も急速に成長しつつある。我が国発着の国際航空貨物量は44年度9万トンであったが,年平均18%の伸びで54年度には49万トンとなった。このうち,我が国航空企業は積取比率で35%程度を確保している。品目的には,薬品,精密機械,食料品等少量高額の貨物が多い。今後,我が国経済の高度化に伴い,エレクトロニクス製品等運賃負担力の高い物資を中心に,一層輸送量の増加が見こまれる。
このように国際貨物輸送は,この10年間で国内貨物総輸送量の伸び以上の成長を示し,これに占める我が国企業の役割も次第に重要性を増してきている。しかしながら,第3章,第4章で述べるように,激動する国際輸送秩序の変化の中で多くの課題をかかえており,経済的安全保障の確保の観点からも,今後とも我が国海運,航空の発展,充実に努めていくことが大切であろう。
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