2 被害者救済の拡充


  自動車事故の発生を防止するとともに,被害者保護の増進を図ることを目的として,48年12月に自動車事故対策センターを設立した。同センターでは,被害者救済のため各種生活資金の貸付,重度後遺障害者に対する日額3,000円以内の介護料補助等の業務を行っており,54年度には,交通遺児等貸付については8,623人を対象として11億3,805万円を貸付け,介護料補助については496人を対象として2億8,371万円を補助する等の実績をあげている。
  運輸省は,54年度において,このような業務を行う自動車事故対策センターに対し,補助金約27億6,200万円,貸付金約10億4,700万円,総額約38億900万円を助成している。
  また,このほか自動車事故の防止と被害者保護の増進を図るため,自動車事故相談事業,救急医療施設整備事業等に対し補助を行ってきており,54年度においては,総額約12億4,600万円の補助金を交付している。更に,55年度においては,交通遺児に支払われた損害賠償金の効率的,長期的かつ安定的な運用を図り,その育成のための資金を長期にわたり定期的に給付する事業を実施することにより,交通遺児の生活基盤を確立し,その健やかな育成に資することを目的として,55年8月1日に財団法人交通遺児育成基金を設立し,同基金の運営等に対して補助を行うこととしている。
  しかしながら,依然として,自動車事故により毎年数十万人が死傷しているという悲惨な状況にかんがみ,自動車損害賠償保障制度を補完し被害者保護をより一層拡充していくため,被害者についての適切な治療及び養護を確保していくこと等,今後とも総合的な被害者援護施策を講じていくことが必要である。


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