5 便宜置籍船問題


  便宜置籍国(船舶の登録に特別の要件を要しない国)に登録されている船舶,いわゆる便宜置籍船の船腹量は,最近鈍化しつつあるものの増加の傾向にあり,70年に約4,000万総トン(世界船腹量の約19%)であったものが,79年には約1億1,400万総トン(同約28%)に達している。便宜置籍船問題は,政府間海事協議機関(IMCO),国際労働機関(ILO),UNCTAD等において種々の観点から検討されているが,UNCTADの場では,便宜置籍船は,発展途上国商船隊整備の阻害要因となっているので廃止すべしとする発展途上国側の主張を基に検討が行われている。第2回UNCTAD便宜置籍船特別政府間会合(80年1月)においても段階的廃止案が検討されたが,規制の必要性,影響等について十分な検討が行われていないこと,リベリア,パナマ等の強い反対のため発展途上国間の意見調整が進まなかったこと等により,十分な議論がなされないまま終った。


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