1 漁業離職者対策


  漁業をめぐる雇用情勢は,諸外国の漁業規制の強化等により多数の離職者が発生する等厳しい状況にあるが,昭和54年度においても,ニュー・ジーランドの漁業規制の強化に伴いニュー・ジーランドいかつり漁業に従事していた多数の船員が離職する等,317人が国際協定の締結等により離職を余儀なくされた。
  これら漁業離職者については,次のような対策を講じている。

(1) 国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法による援護措置

  国際協定の締結等に伴い,特定漁業(母船式さけ・ます等27業種)から離職した船員については,国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法に基づき漁業離職者求職手帳を発給し,きめ細かな就職指導を実施するとともに,各種給付金を支給し,生活の安定と再就職の促進を図っている。
  なお,当該援護措置を受けている者は,55年3月末現在で5,409名である。

(2) 漁船員特別訓練講習会の実施

  上記漁業離職者求職手帳所持者等を対象として,これらの者の再就職を容易にするため,55年2月,財団法人日本船舶職員養成協会が,函館,塩釜,気仙沼及び八戸において「漁船員特別訓練講習会」を実施し,その再就職の促進と技能の向上に努めた(受講終了者数139名)。

(3) 広域職業紹介の実施等

  漁業離職者が北海道,東北地区に多数発生していることから,全国的な漁業労働者の需給の調整を図ることとし,関係漁業協同組合等の協力を得て漁業労働力需給情報の収集,交換等の業務をファクシミリにより行い,広域職業紹介を実施するとともに,各地方海運局に地方公共団体,漁業協同組合.船員団体等からなる漁船乗組員雇用対策協議会を設置し,漁業実態地域の漁業労働の特殊性の実態把握,求人情報の収集・交換等を行う等,漁業離職者の再就職の促進に努めている。


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