2 国際協調
造船業に関する国際的諸問題については,従来より経済協力開発機構(OECD)造船部会において,欧州諸国,日本等主要造船国による討議が行われてきた。我が国は,本部会設立当初からこれに積極的に参加し,国際協調の推進に努力してきたが,近年の世界的造船不況に対処するため,75年以降OECDにおいて造船不況対策についての検討が行われ,76年5月,過剰造船能力の削減を骨子とする「造船政策に関する一般的指導原則」が決議され,各国ともこの原則に沿って不況対策を講じることとなった。
しかしながら欧州各国は各種の助成措置の導入を図ってきたので,我が国は,これらの助成措置はOECDにおける基本精神に反するものであり,やむを得ずこのような助成措置を導入する場合であっても,その措置は,OECDの取極めに従った時的な救済措置であるべきこと,「一般的指導原則」に沿った造船業合理化計画に裏打ちされたものであるべきこと等を適宜指摘してきたところである。
最近では,長期的構造不況対策として,造船能力の削減の問題が取り上げられており,各国とも能力削減,再編成計画,事業転換等の諸対策が具体化しつつある。我が国は,80年3月末までに35%の設備能力の削減を世界に先駆けして実施してきたが,需給の不均衡の解消に影響を与える地の諸国の動向についても今後の推移を注目する必要がある。
また,輸出船の延払い条件については,国際的にOECDで決議された「船舶の輸出信用の了解」に基づき,頭金30%以上,延払期間7年以内,金利8%以上の統一的な条件を維持してきたが,79年12月には,世界的な不況脱却の一環として,頭金20%以上,延払期間8.5年以内(金利は従来通り)の新条件に改定された。
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