2 船舶積量測度
(1) 船舶積量測度の概要
船舶の積量測度による船舶のトン数は,船舶の大きさを表わす総トン数と稼動能力を表わす純トン数とがあり,国が公証するもので,船舶の安全の確保に必要な諸法令をはじめ多数の海事関係法令の適用上の基準として用いられている。
船舶の積量測度の種類は新造時及び改造時の測度があり,総トン数20トン以上の船舶については国が,総トン数20トン未満の船舶については地方自治体が実施している。これらの測度の対象となる船舶は,年間,国が実施するもの約3,000隻,地方自治体が実施するもの約3,500隻である。
また,測度実施後における船舶の実体と船舶国籍証書に記載されているトン数等との整合性を図るため,船舶国籍証書検認時に定期臨検を実施しているが,その対象船舶は約2万隻である。
更に,積量の測度は,各国がそれぞれの国内法に基づき異った方法により実施していることから,トン数値に差違が生じ関係法令の適用に大きな影響を与えるため,IMCOにおいて「1969年の船舶のトン数の測度に関する国際条約」が採択され,我が国も加入することとし,第91回国会において承認された。
また,この条約を実施するための国内法である「船舶のトン数の測度に関する法律」が,同じく第91回国会において成立した。
同法の施行は同条約が我が国において効力を生じる日からとなっているが,我が国が加入したことにより発効要件を充足することから,昭和57年7月18日に施行されることとなる。
(2) 船舶積量測度体制の充実
船舶の積量測度の実施のため,全国42か所の海運局等に56名の船舶積量測度官を配置し,船舶の積量測度及び臨検を実施している。
近年,技術の進歩革新,特殊船及び専用船の開発等による船舶積量測度業務の複雑化に対処するため,トン数測度関係法令の整備,臨検の強化,更には船舶積量測度官の適正配置,研修等により資質の向上を図る等,船舶積量測度体制の充実を図っている。また,小型漁船のトン数水増し船に対処するため,小型漁船の実船検認(船舶国籍証書等の検認に当たり,船舶に臨検し,船舶の実態と船舶国籍証書等に記載されているトン数との整合性の確認を行う。)を行うとともに,小型船舶のトン数の適正化を図るため,地方自治体担当者の指導の強化を図っている。
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