3 プレジャーボートの安全対策


  54年に発生した要救助プレジャーボートの隻数及び死亡・行方不明者数は353隻,21人であり,その普及に伴って増加を続けていたプレジャーボートの海難の発生は,モーターボートによる海難が減少したこともあってやや落ち着きを示しているものの,プレジャーボート隻数の増加の動向をみればなお予断を許さない状況にある。
  このような状況にかんがみ,海上保安庁としては,49年以来プレジャーボート等小型船舶に対する安全指導を重点項目としてとらえて,54年には,プレジャーボート関係者を対象とし,指導用スライド等を用いた海難防止講習会を全国で255回開催し,1万231人が受講した。また,全国一斉に実施される春の全国海上交通安全運動においては,プレジャーボート等小型船舶を安全指導の重点対象とするとともに,海事関係法令の公開取締りを実施している。
  更に,海上保安庁では,民間有志による自主的なパトロール等の安全活動を援助・育成することを目的として,49年に海上安全指導員制度を発足させ,54年度末現在,1,103人の海上安全指導員及び514隻の安全パトロール艇が指定され,全国各地で安全活動に従事している。また,こうした民間活動の組織母体として,二つの社団法人を含む49の小型船交通安全協会等が設立され,活動を行っている。54年には,小型船交通安全協会等により,プレジャーボート関係者を対象とした講習会が全国84か所で92回開催され,5,065人が受講し,また,海上安全指導員により1万671隻のプレジャーボートが安全指導を受けた。
  また,小型船舶(総トン数20トン未満のもの)に対する船舶職員の乗り組み等について一層周知徹底を因るとともに,小型船舶操縦士試験の実施体制を整備し,日本船舶職員養成協会等の民間養成機関に対する指導等を行っている。
  構造,設備の面からは安全基準の整備強化に努めるとともに,小型船舶の検査を統一的に実施している小型船舶検査機構に対しても,実施体制の強化等を図るべく,54年度において3,000万円の政府出資が行われた。


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