4 外国船舶の安全対策


  多国船舶の海難発生率が高い要因としては,我が国周辺海域は気象・海象の自然条件が厳しいうえに,特に,狭水道では船舶交通のふくそう度が高く,潮流が速い等の特殊性がありこれに不慣れなこと,船員の資質や船体,装備等の水準の低いものが含まれていること等があげられている。こうした問題については,遭難時に適切な自救措置がとられないまま全損となる特徴的な海難が粗次いで発生したことにより一層浮き彫りにされた。
  このため,海上保安庁は,外国船舶の安全対策として,強制水先対象船舶以外の外国船舶についても水先人乗組みを勧奨し,航行安全に必要な事項を記載した英文パンフレットを配布する等の安全指導を講じている。国際的にも,船員の資質の問題については,「1978年の船員の訓練,資格証明及び当直維持の基準に関する国際条約」,全世界的な捜索救難体制の確保については,「1979年の海上捜索救難に関する国際条約」の早期発効が望まれる。また,パナマ等便宣置籍国の一部については,事故率の高いものがあり,便宣置籍国の船舶は,運航者の責任体制が不明確になりがちである等の問題があることから,その安全運航の確保が特に要請されるところである。


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