3 航空スポーツ安全対策の推進
近年普及しつつある航空スポーツは,自家用航空機,滑空機,自作飛行機,ジャイロブレーン,ハング・グライダー,気球,落下傘等を使用して行われている。
余暇時間の増大,スポーツ志向,大空の魅力等を背景として,これら航空スポーツの愛好者は年々増加の一途をたどっており,ハング・グライダーにおいては,愛好者は既に1万人に達していると言われている。
航空スポーツは,個人の愛好者による自発的な活動として普及しているが,このため,基本的な知識や技量及び安全意識の欠如に起因する事故が目立ち,昭和54年には,滑空機7件,ジャイロプレーン2件,ハング・グライダー30件の事故が発生している。
56年7月には,ハング・グライダーの第3回世界選手権大会が大分県別府市で開催される計画が進められており,これを契機として航空スポーツは一層発展し国民生活の中に定着するものと予測される。航空スポーツの中には,使用機材が航空法上の「航空機」に当たり,従って,航空法による規制を受けている分野もあるが,多くの分野の安全は,技能検定員の認定,講習会の開催等の愛好家団体が自主的に実施する対策に委ねられているのが現状である。今後の普及につれて,我が国の狭隘な地理的条件の中で航空スポーツの安全な実施を確保することが重要な課題となる。
このような状況を踏まえ,今後,愛好者の安全意識の同上に努めるとともに,使用機材の安全性,操縦者の技量,飛行区域等の基準を見直し,かつ,航空全体の中での航空スポーツの位置づけを勘案しながら,その指導体制を確立する必要がある。
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