5 旅行者の保護
観光旅行の普及に伴って様々なトラブルも発生するようになり,旅行者保護及び旅行業界の秩序確立の必要性はますます高まってきている。
このため,従来より旅行業法に基づいて各種の措置を講じているが,54年度においても次のような措置を講じ旅行者保護の一層の強化を図った。
(1) 旅行業法は,旅行業者が旅行者と旅行契約を締結した場合に書面を交付すべきこと,あらかじめ届出た旅行業務取扱料金を収受すべきこと等の取引に関する規定を置いている。これらの取引準則の遵守状況及び旅行業代理店業の営業実態を把握するため,一般旅行業者及び同代理店業者の営業所に対し立入検査を実施する一方,社団法人日本旅行業協会を通じ,取引準則の遵守等について徹底を図るよう指導した。
(2) 旅行業モニター制度を実施して旅行取引に関し国民から広く意見を徴し,これを旅行者保護のための諸施策に反映させた。
(3) 旅行業者は営業保証金の供託を義務付けられている。この営業保証金は,取引の相手方を保護する目的で,営業上の取引による債務の支払を担保するために供託されるものである。54年7月に旅行業法施行規則を改正して,営業保証金の額を55年1月から従来の3倍に引き上げ,旅行者の保護を一層強化することとした。
(4) 修学旅行について,学校等旅行の主催者に対して旅行業務取扱料金等に関する明示又は説明がなされない等の不適切な処理がなされている事例が明らかになった。このため,運輸省は,55年2月,修学旅行に係る旅行業務の取扱料金等を明示すること等,修学旅行に関する取引の適正化につき旅行業者を指導した。
(5) 46年の旅行業法の改正以来の旅行業をとりまく環境の変化等に対応し,54年7月運輸省に,学識経験者,関係業界団体の代表等の委員からなる旅行業制度検討委員会を設け,添乗員の資質の向上等旅行者の保護を一層強化するための方策及び旅行業界の秩序を確立するための方策について検討している。
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