1 概況昭和55年度における経済活動の停滞,いわゆる「景気のかげり」は最終需要項目別,産業別,企業規模別,地域制に跛行性をもたらしたが,中小企業のウエイトの高い運輸関係の多くの業種にとって経営環境は厳しさを増し,輸送需要の停滞,燃料費の高騰等のコストアップ等により経営収支率等の経営指標は悪化した。 55年度の全産業の売上高合計額は,大蔵省「法人企業統計年報」によれば819兆8,189億円であり,54年度に対し14.0%の伸びとなっている。そのうち,運輸・通信業は26兆9,504億円(陸運13兆1,731億円,水運6兆4,204億円)であり,全体の3.3%を占めている。また,船舶製造・修理業は5兆3,192億円,旅館その他の宿泊所は3兆7,055億円となっている。 運輸・通信業の売上高対前年同期比増加率は55年1〜3月期にピークに達したが,その後下降線を辿っており,また,営業利益率も波はあるものの同様の傾向を示している 〔1−3−1図〕。金融動向についてみると,金融機関の貸出態度は,55年前半にはやや厳しさが増したものの,金融引締め政策の緩和により年後半には改善の方向に向かった。一方,資金繰りは,売上高増加率の鈍化,借入金の返済負担等のため悪化の度合を深めた 〔1−3−2図〕。売上高金融費用比率は55年中頃わずかに下降したが,55年度後半は総資本回転率の悪化により再び上昇傾向にあることがわかる 〔1−3−3図〕。
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