3 「経営改善計画」の概要
危機的な状況下にある国鉄経営の再建を図り,国鉄が今後とも我が国の基幹的輸送機関としての役割を果たしていくためには,国鉄自身が責任ある経営体制を確立するとともに,労使相協力し,意を新たにあらゆる分野において徹底した経営改善に象り組むことが何よりも必要である。
都市間・大都市圏旅客輸送及び大量・定型貨物輸送といった鉄道の特性を発揮し得る分野に経営を重点化し,地方交通線など鉄道の特性を発揮し難い分野については徹底した合理化を行い,国鉄経営の全体について減量化施策を講ずることとしている。
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国鉄自身の創意工夫により増送増収努力を行うとともに,他の輸送機関との競合関係等を考慮しつつ,きめ細かな工夫を凝らし,適時適切な運賃改定を行う一方,全職員あげて安定した列車運行の確保とフロントサービスの向上に取り組むこととしている。
投資に伴う資本費の増加が経営の圧迫要因となっている現状にかんがみ,設備投資については極力これを圧縮することとし,計画期間中の投資規模を現状程度に抑制することとしている。
労使関係の改善は国鉄再建のための基本的条件であり,労使が国鉄の置かれた現状を十分認識し,相互の信頼関係を深めることにより協力体制を築き上げるよう,一層の努力を傾注することとしている。また,国鉄経営の厳しい状況について職員の認識を深め,執務態度の厳正を図るとともに職場規律の確立に努めて,国民の信頼に一層応え得る国鉄とすることとしている。
この計画における経営改善措置を確実に実施することにより,国鉄の収支は,行財政上の措置と相まって,60年度までに一般営業損益においてできるだけ多くの益金を出し,60年度には幹線の損益において収支均衡を達成する(今後開業する新幹線に伴う影響を除く)など健全経営の基盤を確立するとともに,61年度以降については可及的速やかに収支均衡の実現を図ることとしている 〔1−4−5表〕。
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