1 高齢者及び身体障害者の動向


(1) 高齢者

  我が国における人口の年齢構成は,出生率,死亡率の低下により急速に高齢化しつつある。総理府統計局及び厚生省人口問題研究所によれば,1930年には約300万人にすぎなかった高齢者(65才以上)が,1980年現在では1,000万人を超えていると見られている。また,総人口に占める高齢者の割合を見ると,1930年の4.8%から1980年には8.9%とほぼ2倍にまで達している。この傾向は今後とも続き,2020年には高齢者数2,600万人,総人口に占める割合は18.8%に及び,我が国の約5人に1人は65歳以上の高齢者となると推計され,21世紀の日本社会においては高齢者の存在が大きなウエイトを占めることは確実である。将来確実に到来する高齢化社会においては,単に高齢者数が増加することのみならず,高齢者の社会参加の必要性,可能性も極めて高くなると予想される。

(2) 身体障害者

  厚生省の第6回身体障害者実態調査によれば,我が国の18歳以上の身体障害者数は,昭和55年7月現在約200万人に達していると見られ,これは成人国民の2.4%に及ぶものとなっている。前回,昭和45年に行われた同調査と比較して約66万人,50%の増加となっており,身体障害者の高齢化,障害の重度化が見られる。また,これを障害種類別に見ると肢体不自由者が圧到的に多く,次いで視覚,聴覚,内部障害の順となっており,移動が不自由な者の割合は大きい。
  こうした状況の中で,近年,身体障害者の社会参加の必要性が主張され,国連決議(1976年12月)による「国際障害者年(1981年)」を契機として社会参加への諸要求が一層高まっている。移動交通対策についても,身体障害者の社会参加にとって重要な要件の一つであるとして,歩行者中心の生活道路の整備,公共交通機関の身体障害者のための施設整備等が要望されている。


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