1 自動車をめくる国際環境近年,欧米自動車生産国との間で,自動車をめぐる貿易上の摩擦が大きな国際問題となっている。 昭和55年の我が国の乗用車輸出入は,輸入4万6、000台に対して輸出が394万7,000台と輸入1台に対して輸出が約85台の比率となっており,この輸出入の比率は,この10年間を通じての一貫した基調である 〔1−8−15図〕。また,我が国の55年の乗用車生産台数に占める乗用車輸出台数の割合は56.1%と,西ドイツ,フランスとほぼ同程度であるが,アメリカと比べ,かなり高い数字となっている 〔1−8−16図〕。他方,輸入台数については,我が国の新車登録台数に占める輸入乗用車の割合は55年に1.6%であり,世界自動車生産国の中で新車登録に占める輸入車の割合が比較的低いアメリカやフランスの約35%に比べても大幅に小さいものとなっている 〔1−8−17図〕。
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こうした我が国の乗用車輸出入の不均衡が,自動車をめぐる貿易上の摩擦を引き起こしている。その主たる原因としてあげられるのは,他の国に比較した場合の日本製自動車の総合的な品質の良さである。日本製自動車は,44年頃の欠陥車問題を契機とした安全性,耐久性の技術的改善努力,一連の排出ガス規制強化の副産物である低燃費技術の開発等に支えられ,その性能・品質が一段と改良されるとともに,従来からの小型車中心の車種構成が,近年の省資源,省エネルギーの観点からの世界的な小型車志向の波に乗り,世界の自動車市場を席巻することとなった。
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