1 国連関係の国際会議


  国連の場においては,国連貿易開発会議(UNCTAD)海運委員会第3回特別会合が昭和56年5月から6月にかけてジュネーブにおいて開催され,便宜置籍船問題についての討議が行われた。
  国連の地域経済委員会の1つであるアジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)の場では,55年12月にバンコクにおいて第4回海運運輸通信委員会が開催され,ESCAP域内の海運,港湾,内水路の発展状況の検討並びに今後の作業計画に関する討議がなされた。その結果については,56年3月に同じくバンコクで開催された第37回ESCAP総会において更に検討が加えられた。また,同じく地域経済委員会の1つである欧州経済委員会(ECE)の場では,55年9月及び56年3月にジュネーブにおいて国際貿易手続簡易化作業部会が開催され,各種貿易関係書類の標準化,コンピューターを利用した貿易関係手続の簡易化等について討議が行われた。我が国もオブザーバーとして参加した。
  国連の各種の専門機関にも我が国は積極的に参加し,国際協調の強化に努めている。
  政府間海事協議機関(IMCO)においては,海運問題の技術的側面及び法律的側面からの検討を行い,海上における安全の向上及び海洋環境の保護等の観点から種々の条約制定や勧告を行っているが,53年7月に「1978年の船員の訓練,資格証明及び当直維持の基準に関する国際条約」が,54年4月に「1979年の海上捜索救難に関する国際条約」がそれぞれ採択され,また,56年4月にはコンテナの保守点検時期の変更を目的として「安全なコンテナに関する国際条約」の一部が改正された。更に,56年3月にロンドンにおいて第44回海上安全委員会が開催され,船舶の防火構造,機関,電気設備等の強化を図った「1974年の海上における人命の安全のための国際条約」の全面改正案が作成された。この改正案は,本年五月の拡大海上安全委員会において正式に条約改正として採択されることとなっている。
  国際労働機関(ILO)の場では,55年10月にジュネーブにおいて合同海事委員会第4回船員厚生小委員会が開催され,船員の厚生問題について討議が行われた。
  航空に関する多国間問題の協議の場としては,国際民間航空機関(ICAO)があり,55年度には主にモントリオールのICAO本部において航空委員会,法律委員会等の各種の会議が開催され,我が国もそのうち26の会議に参加した。最近は,従来の技術及び法律分野における協議に加え,経済問題に関する会議が増加してきており,輸送力規制問題,運賃問題等について検討が進められている。
  更に,気象に関する国連の専門機関である世界気象機関(WMO)の第33回執行委員会は,56年6月にジュネーブにおいて開催され,57年のWMOの事業計画の審議及び予算の決定を行った。


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