2 国連以外の国際会議
内陸運輸問題を対象とする唯一の閣僚レベルの国際機関である欧州運輸大臣会議(ECMT)の場では,第52回閣僚理事会が55年11月にパリにおいて開催され,複合輸送の現状と見通し及び道路交通,交通標識,交通信号等の諸問題について検討を行った。また,第53回閣僚理事会が56年5月にヘルシンキにおいて開催され,運輸部門における省エネルギー,身体障害者の交通問題等についての検討を行った。我が国も,ECMTの準加盟国として討議に参加した。
経済協力開発機構(OECD)においては,交通,運輸等に関する先進国間の意見調整が行われている。まず,海運委員会においては,南北問題,加盟国間の海運に関する障壁の解消問題等について先進国間の共通政策を見出すための検討が続けられており,我が国も56年1月,6月及び10月に開催された同委員会に積極的に参加した。次に,観光委員会においては,観光に係る年次報告,消費者保護及び環境保護の見地からの観光問題等についての検討がなされている。更に,造船部会の場では,世界的な不況下における造船問題についての協議がなされており,55年には4回開催され,各国の不況対策,輸出信用了解の改定,助成措置削減計画等について協議が行われた。
48年9月の「東京宣言」で開始された多角的貿易交渉,ガット東京ラウンドは,54年4月に妥結し,その成果として各国で適用されている規格,基準,検査手続等が貿易の不必要な障害とならないことを確保するため,「貿易の技術的障害に関する協定」等の条約が定められた。55年度においては,「貿易の技術的障害に関する協定」に基づいて道路運送車両の保安基準の一部改正に際してのガット事務局に対する事前通報等を行い,協定の円滑な実施に努めた。
観光の分野では唯一の世界的な政府機関である世界観光機関(WTO)の提唱に基づいて,世界観光会議が55年9月から10月にかけてマニラにおいて開催された。同会議においては,国際間の相互理解を増進することによる世界平和への貢献,雇用の促進等観光のもつ経済的,社会的重要性を評価した上で,観光の振興を図るための諸々の対策を定めたマニラ宣言が採択された。
港湾に関する諸問題についての情報交換等を目的とする国際機関である国際港湾協会の場では,国際港湾協会創立25周年第12回総会が56年5月に名言屋において開かれた。同会議においては,港湾の人間生活繁栄への寄与をテーマとして国際港湾協力,地域の発展における港湾の役割等について活発な討議が行われた。
船舶の航行の安全のために必要不可欠である航路標識の発展と調和を目的として設立された国際航路標識協会(IALA)の場では,第10回国際航路標識会議が55年11月に東京で開催され,浮標式の国際的統一に関する決議がなされた。また,我が国は,同会議において会長国に就任し,今後5年間同協会運営の重要な役割を担うことになった。
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