1 収支の概況


  昭和55年度の経営成績は,一般勘定でみると営業収入が2兆9,637億円,営業経費が3兆9,643億円で,その差額1兆6億円が営業損失となり,これに営業外損失78億円を加えた1兆84億円の純損失を計上した。純損失は前年度に対し1,866億円,23%の増加となっている。なお,本年度純損失から職員構成の歪みによる退職手当の異常な支出に係る特定退職手当純損失1,784億円を除いた一般純損失でみると8,300億円と,前年度に対し1,018億円,14%の増加となっている。
  また,本年度の一般勘定における繰越欠損金は,前年度末3兆5,167億円から大幅に減少した。これは,前年度末一般繰越欠損金のうち2兆8,220億門を特定債務整理特別勘定(以下「特別勘定」という)へ移し替え,5,243億円の資本積立金を取り崩して減額したためである。この結果,本年度の一般繰越欠損金は,上記措置による残額1,704億円に本年度純損失1兆84億円を加えた1兆1,788億円となった。特別勘定では,政府から財政再建利子補給金3,457億円を,一般勘定から407億円を受け入れ,特定長期借入金利子に3,464億円を支払うとともに,特定長期借入金386億円,財政再建借入金14億円の償還を行った。

(1) 収入

  営業収入は,総額で2兆9,637億円と前年度に比べ2%の増加となった。
  このうち,旅客収入は,55年4月の運賃改定にもかかわらず,景気の停滞,個人消費支出の低迷等により,2兆2,424億円と対前年度比4%の増加にとどまった。
  普通旅客収入は,在来線が1兆1,042億円と前年度比3%増,新幹線が7,215億円,同4%増となり,合計1兆8,257億円,同3%増となった。定期旅客収入は,3,598億円と対前年度比10%増となった。一方,手小荷物収入は,369億円と同12%の減少を示した。
  貨物収入は,産業活動の停滞,冷夏等の影響により輸送トンキロが大幅に減少し,コンテナ収入では718億円と対前年度比9%減,車扱収入は2,558億円と同6%減となり,全体では3,296億円と同7%の減少となっている。
  雑収入は,関連事業収入等の増加により,1,025億円と対前年度比6%の増加となった。
  助成金受入れは,地方交通線特別交付金が対前年度比53%増,合理化促進特別交付金が同71%増,特定退職手当補給金が同99%増となったが,臨時補給金がなかったため全体として2,891億円と同2%の減少となった。
  また,営業外収入では,固定資産売却収入等の増加により,359億円と対前年度比50%の増加となった。

(2) 経費

  営業経費は,総額で3兆9,643億円と対前年度比6%の増加となった。このうち,人件費は,仲裁裁定の実施,退職手当及び共済組合負担金等の増加により,1兆8,587億円と対前年度比7%の増加となった。動力費は,電力料金及び燃料油の高騰等により2,233億円と対前年度比51%と大幅に増加した。
  修繕費は,運転保安に係らない建物等の修繕は極力繰り延べ,線路設備等の整備を重点的に行なったもので,6,780億円と対前年度比6%の増加となった。業務費は,電灯料,燃料油の高騰や車両清掃等の業務委託の拡大もあって,3,001億円と対前年度比10%の増加となった。
  資本経費では,減価償却費,繰延資産償却費の増加があったものの,長期借入金2兆8,220億円を特別勘定へ移し替えた結果,利子及び債務取扱諸費が4,764億円と対前年度比14%の減少となり,全体で8,742億円と同6%の減少となった。
  また,営業外経費は,特別勘定の長期負債の償還400億円と特定長期借入金利子の一部の支払い7億円に充てるため,計407億円を特別勘定へ繰り入れたことにより全体で437億円となり,前年度に比べ405億円の増加となった 〔I−(I)−5表〕


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