3 運賃


  国鉄の運賃については,54年12月29日に閣議了解された「日本国有鉄道の再建について」において,「輸送需要の動向,他の運輸機関との競合関係等を考慮しつつ,国鉄の主体的な経営判断のもとにきめ細かな工夫を凝らし,法定限度の範囲内において,国鉄の収支状況及び物価動向にも配慮しながら,適時適切に改定を行う」こととされ,再建対策における運賃改定の位置付けが明らかにされた。
  56年度の国鉄の収支状況は,電力料金,石油価格の高騰を受けて大幅な経費増を避けることができず,要員の合理化,政府助成の強化にもかかわらず,1兆円を超える欠損が見込まれている。
  このような財政状態にかんがみ,国鉄は,運賃改定によってできる限り収支の悪化を防止するため,56年2月7日運賃改定申請を提出した。
  この申請は,56年4月20日から旅客運賃,貨物運賃をあわせて平均9.7%引き上げようとするもので,その主な内容は,
 (1) 普通旅客運賃を平均9.5%引き上げる。初乗り運賃は,100円を110円とする。
 (2) 料金は,座席指定料金を除き平均9.4%引き上げる。
 (3) 通勤定期旅客運賃は,普通旅客運賃の改定を反映して平均9.6%引き上げる。
 (4) 通学定期旅客運賃は,割引率を平均3.0%引き下げ,普通旅客運賃の改定に伴う改定とあわせ,平均23.9%引き上げる。
 (5) 貨物運賃は,コンテナ貨物運賃及び車扱貨物運賃とも賃率を平均9.9%引き上げる。
 というものであった。
  運輸省は,この申請を受けて,運輸審議会,物価問題に関する関係閣僚会議等に諮り,56年4月10日,通学定期旅客運賃の割引率の引き下げの実施期日を56年7月1日とする修正を加えて認可した。
  これにより,56年度は1,956億円(増収率7.9%)の増収が見込まれている。


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