2 被害者救済対策の拡充


(1) 自動車事故対策センター

  48年12月,自動車事故対策センター法に基づいて設立された自動車事故対策センターは,自動車事故の発生を防止するとともに被害者保護の増進を図ることを目的として,交通遺児貸付等各種生活資金の貸付,重度後遺障害者に対する日額3,000円以内の介護料補助等の業務を行っている。交通遺児等貸付については,8,695人に対して12億5,594万円を貸付け,介護料補助については,544人を対象として4億8,239万円を補助するなどの実績をあげている。
  運輸省は,このような業務を行う自動車事故対策センターに対し,55年度において,補助金約29億4,200万円,貸付金約9億9,000万円,総額約39億3,200万円を助成している。
  また,自動車事故による重度の後遺障害者の実態にかんがみ,それらの被害者に対する適切な治療及び介護を確保するとともに,家族の肉体的,精神的及び経済的負担の軽減を図るため,自動車事故対策センター法を一部改正して,56年度から自動車事故対策センターの業務を追加し,自動車事故による被害者で後遺障害が存するため治療及び常時の介護を必要とするものを収容して治療及び養護を行う施設を設置し及び運営することとした。なお,56年度において運輸省は,施設整備のための用地購入費として7億円を出資することとしている。
  更に,重度後遺障害者に対する介護料の支給については,56年10月から,従来の重度意識障害者に加えて重度脊髄損傷者をも対象とする予定である。

(2) 自動車事故対策費補助金制度

  自動車事故の防止と被害者保護の増進を図るため,財団法人日弁連交通事故相談センターの行う自動車事故相談事業等や公的医療機関等の行う救急医療設備整備事業,また,交通遺児に支払われた損害賠償金の効率的,長期的かつ安定的な運用を図り,その育成のための資金を長期にわたり定期的に給付する財団法人交通遺児育成基金の行う交通遺児育成基金事業等に対し補助を行ってきており,55年度においては,総額約13億5,800万円の補助金を交付している。


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