1　自動車排出ガス対策

　　自動車構造に関し,道路運送車両の保安基準に基づき,一酸化炭素(CO),炭化水素(HC),窒素酸化物(NOx),黒煙(ディーゼル車に限る)に関する規制が行われている。

(1)　ガソリン車(新車)に対する規制及び対策

　　現在,乗用車に対しては53年度規制を実施している。これにより,自動車1台当りのCO,HC,NOxの排出量は,未規制時に比べ,それぞれ90%以上削減された 〔I−(II)−２７表〕。

　　乗用車に対する対策としては,エンジン改良,触媒装置,排気ガス再循環装置等が組み合わされて採用されている。
　　トラック・バスに対しては,52年12月の中公審答申を踏まえて,NOxについての規制を強化すべく第1段階の規制を54年規制として実施し,更に第2段階の規制を車種ごとに逐次実施してきている。
　　既に軽量車に対して56年1月より56年規制として第2段階規制を実施しており,56年11月末には輸入車を除く車両の切替えが終了する予定である。これにより,自動車1台当たりのNOx排出量は,未規制時に比べ80%以上削減されることとなる。
　　また,中量車に対しても56年12月より56年規制として第2段階規制を実施するとともに,軽自動車及び重量車に対し57年1月より57年規制として第2段階規制を実施することを決定している 〔I−(II)−２７表〕。これにより,自動車1台当たりのNOx排出量は,未規制時に比べ70%以上削減されることとなる。
　　トラック・バスに対する対策としては,エンジン改良,排気ガス再循環装置等が主として採用されているが,一部の56年規制対策車については,乗用車と同様に触媒装置が採用されている。

(2)　ディーゼル車(新車)に対する規制及び対策

　　現在,乗用車,トラック・バスとも,52年12月の中公審答申を踏まえて,NOxについての規制を強化すべく第1段階の現制を54年規制として実施し,更に第2段階の規制を車種ごとに逐次実施してきている。
　　既に副室式ディーゼル車に対して,乗用車については57年1月,トラック・バスについては57年10月から57年規制として第2段階規制を実施することを決定している。また,残る直接噴射式ディーゼル車に対しても,56年8月に道路運送車両の保安基準を改正し,58年8月から58年規制として第2段階規制を実施することとした 〔I−(II)−２７表〕。これにより,自動車工台当たりのNOx排出量は,未規制時に比べ50%程度削減されることとなる。
　　この58年規制をもって,ガソリントラック・バス及びディーゼル車に対する第2段階規制は一応完了する。しかし,ディーゼル乗用車については,更に一層の規制強化のため重量表示による目標値が設定されたことにより,今後技術開発の促進を図り,できるだけ早期に目標値の達成を図ることとしている。
　　排出ガス低減対策としては,燃料噴射時期の遅延,燃焼室形状の改良等が主として採用されている。

(3)　使用過程車に対する規制及び対策

　　現在,ガソリン車に対して,アイドリング時におけるCO及びHCの濃度規制を実施しており,ディーゼル車に対しては黒煙の濃度規制を実施している。　なお,使用過程車については,今後とも,検査体制の充実,定期点検整備の徹底等に努めていくこととしている。