3 便宜置籍船問題


  便宜置籍船とは,船舶の登録に特別な要件を必要としない国に登録されている船舶をいい,その船腹量の増加は最近鈍化しつつあるものの,80年には約1億1,500万総トンに達しており,世界の船腹量の約28%を占めるに至っている。
  この問題は,便宜置籍船が発展途上国商船隊整備の阻害要因となっているので廃止するべきであるという発展途上国の主張を基に,様々な角度から検討されてきているが,便宜置籍船をめぐる実情,影響などが充分把握されているとはいえず,依然として国際的に論議の対象となっている。
  UNCTAD海運委員会第3回特別会合(81年5月)においては,船舶とその旗国との間に真正な関係を確立し適当な期間内に便宜置籍船を排除するべきであると主張する発展途上国と,排除するべき実態が不明であり排除しても発展途上国経済に利益とはならないと主張する先進国との間で更に議論を重ねたが,双方の考え方に基本的合意が得られないまま決議案が票決され,今後便宜置籍船は船舶の登録要件強化によって通常の置籍へ徐々に転換していくべきであるとの方向が打ち出された。


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