5 マラッカ・シンガポール海峡通航問題
マラッカ・シンガポール海峡(以下「マ・シ海峡」という)は,我が国の海上輸送,特に原油輸送にとって極めて重要な位置を占めている。マ・シ海峡における安全対策等については,67年12月,政府間海事協議機関(IMCO)において,我が国とシンガポールが共同でマ・シ海峡における分離通航方式(TSS)の導入等につき提案して以来,IMCO,沿岸3国(インドネシア,マレーシア,シンガポール)及び我が国との間で永年にわたり検討が重ねられてきた。その結果,77年11月,IMCO第10回総会において,マ・シ海峡の3か所の危険水域におけるTSSの採用及び船底下の余裕水深(UKC)3.5メートルの確保等を定める通航規則が採択され,その後,若干の修正が行われ,81年5月1日から実施に移された。
また,我が国は,マ・シ海峡の安全及び汚染防止のため,水路測量,航行援助施設の設置,統一基準点海図の作成等について経済的,技術的協力を従来から行ってきている。81年2月には,我が国と沿岸3国との間で検討が重ねられてきた油濁事故発生時の初期防除活動費に充当するための基金(回転基金)の設立及び必要な財政的協力について,財団法人マラッカ海峡協議会と沿岸3国との間で合意の調印をみるに至り,同基金は沿岸3国により同年3月に設立された。
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