2 海難の救助状況


  海上保安庁は,55年には延べ3,427隻の巡視船艇と延べ500機の航空機を出動させ,要救助船舶606隻(乗船者3,098人)を救助しており,その他海上保安庁が救助に当たって関与した隻数を総計すると1,631隻(乗船者9,429人)にのぼり,これは要救助船舶隻数の68%にあたっている。このほか,船舶の海難によらない海上での人身事故2,616人のうち,海上保安庁は272人を救助した。
  人命の救助については,近年ベル212型ヘリコプターが逐次増強されてきたのに伴い,その吊上げ能力が十分に発揮されるようになってきており,55年には要救助船舶の乗船者99人,海上での人身事故者34人,合計133人を吊上げ救助した。
  このなかには,1月荒天下の北海道留萌港内において浸水したリベリア貨物船キナバル・ティガ号(3,618総トン,乗組員29人)から29人全員を救助した事例や,8月低気圧通過に伴う強風のため島根県星ノ島の岩場において孤立した6人を救助した事例がある。56年4月20日には同型機による吊上げ救助者数が500人を突破しており,今後一層ヘリコプターの活用が期待されている。


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