3 国際的な海難救助体制の確立への対応
海洋における安全確保の重要性にかんがみ,従来から各国とも海難救助体制の整備に努めてきたが,海上における遭難者を迅速かつ効果的に救助するため,各国が捜索救難区域を分担することにより全世界の海域をカバーするとともに,一定のルールに従って相互に協力しながら海難救助を行うことが必要であるとの認識が高まり,これを背景として,「1979年の海上捜索救難に関する国際条約」(SAR条約)が採択された。同条約は,各国がそれぞれの周辺海域において捜索救難についての責任を分担すべき区域を定め,その区域内の海上において遭難した者の救助にあたるべきことを義務付け,このための捜索救難制度の整備,各国間の協力等について定めているほか,船舶の位置把握のための船位通報制度を導入すべきことを勧告している。我が国がこれに加入した場合,その分担する捜索救難区域は,距岸1,000海里をこえる広大な海域となることが予想されている。
|