2 ホテル・旅館
55年末現在で旅館業法により営業の許可を受けているホテルは2,039軒,客室数は17万8,000室,旅館は8万3,226軒,客室数96万4,000室となっており,前年に比し軒数でホテルは5.3%,旅館は02%の増加となっている。このうち国際観光ホテル整備法による運輸大臣の登録を受けている登録ホテルは423軒,客室数7万1,110室,登録旅館は1,640軒,客室数は8万3,652室となっている。
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ビジネスホテルは前述のように,ビジネス客のなるべく低廉な費用で宿泊したいというニーズに応えて特に地方都市で増加してきたが,最近ではビジネス客も少し高くてもゆっくりと快適にくつろげる宿泊施設を求めるようになってきており、また,地方都市の都市化が進展するにつれて会議,研修,宴会,食事,ショッピング等の機能をもつホテルに対する需要が増大してきているので,ビジネスホテルにおいても客室,食堂,附帯施設等の水準を向上させる動きがみられる。都市ホテル及びビジネスホテルの客室利用状況をみると 〔IV−18表〕, 〔IV−19表〕のとおり,ホテルの客室数は増加したにもかかわらず客室利用率はここ数年ほとんど変らず,これはホテルの宿泊需要が着実に増加していることを示している。
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登録ホテル222ホテル(196社)の55年度の経営状況をみると赤字会社が54年度の58社から66社へと増加した。営業収入も,対前年度比2.6%の減少となっている。前述のように客室利用率が前年とほほ同じであるにもかかわらず,営業収入が減ったのは,我が国のホテルの収入の半分が飲食収入で,室料収入は約4分の1を占めているにすぎず,55年度は国内経済の停滞により景気にかげりがみられたために飲食収入が減少したためと思われる。
ホテル・旅館は内外からの旅客の宿泊拠点であり,国際観光の基盤施設であると同時にビジネス,文化交流など国民生活の広範な活動の場を提供する施設となっており,また,都市機能の整備を図る上で重要な施設である。しかし,ホテル・旅館の整備には建設時に多額の資金を要するほか事業採算が長期にわたること等から,民間金融機関からの融資のみでは起業及び採算維持が困難である場合において,日本開発銀行,北海道東北開発公庫,中小企業金融公庫など政府関係金融機関の融資を行いその整備の促進を図っている。55年度の日本開発銀行,北海道東北開発公庫,中小企業金融公庫からホテル・旅館に対する融資件数は344件,総融資額401億1,300万円(防災施設等に対する融資を含む)となっている。
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