1 労働市場及び雇用の動向昭和56年の全労働力人口は5,707万人で,前年に比べて57万人(1.0%)増加した。そのうち就業者は5,581万人で,前年に比べて45万人(0,8%)増加した。就業者数はここ数年増加を続けているが,増加幅は縮小している。運輸・通信業の就業者数は,第1次石油危機の後49年には前年比で減少を示したものの,50年以降は再び増加を続け55年は350万人に達したが,56年は前年に比べて6万人(1.7%)減少して344万人となった。 船員についてみると,56年10月現在の船員数は23万1,000人で,前年に比べて2,600人減少した。部門別にみると,外航3万7,400人,内航6万4,800人,漁船11万1,500人で,前年に比べて外航及び漁船がそれぞれ1,000人,2,100人減少したのに対し,内航では1,600人増加した。外航及び漁船員の減少は,我が国外航海運における保有船舶数の減少,一船当たりの乗組員の減少,国際的な漁業規制の強化等による減船等を反映しているものと考えられ,内航船員の増加は,内航海運の保有船舶数の増加等を反映しているものと考えられる。 56年の全産業労働力需給は,新規求人(新規学卒を除く)が前年に比べて4.5%の減少となったのに対し,一般の求職者は前年を上回る6.8%の増加となったことから,求人倍率は低水準で推移し,有効求人倍率(季節調整値)も55年を下回った 〔1−3−15図〕。運輸・通信業の求人状況をみると,一般の新規求人は前年同月比でみて,55年後半に減少に転じた後,56年前半に18%台の大幅な減少となった。その後,年後半には5%前後の減少と減少幅は縮小したものの,56年平均では対前年比12.0%の減少となった。
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船員の需給動向をみると,新規学卒を除く新規求人は,56年平均で対前年比5.7%増となった。部門別では,外航67.1%増,内航4.0%減,漁船45.1%減であった。また,新規求職者は対前年比8.7%増となり,部門別では外航7.6%増,内航140%増,漁船3.4%増であった。このように求人,求職ともに増加したが,56年平均の新規求人倍率は,前年の2.07倍から2.01倍へと横ばいとなった。一方,有効求人倍率は0.80倍から0.95倍へと上昇し,57年に入ってからは1月が0.72倍,2月には0.91倍となった 〔1−3−16図〕。
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有効求人倍率(57年2月)を部門別にみると,それぞれの業況を反映して外航1.51倍,内航1.22倍であるのに対し,旅客船0.12倍,漁船0.31倍と際立った対照をみせている。年齢別にみた需給状況にもかなりの差異がみられ,56年10月の海運局本局に係る有効求人倍率でみると,20歳台1.75倍,30歳台0.61倍,40歳台0.16倍,50歳台0.04倍となっており,若年船員の不足と中・高年船員の就職難を示している。
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