3 賃金の動向
56年における運輸・通信業の平均月間現金給与総額は,全産業平均を7.8%上回る30万993円で,対前年比6.5%増(ギャップ修正済,以下同じ)となり,前年の伸び率を上回った。一方,消費者物価は,55年の対前年比8.0%の上昇から56年には4.9%の上昇と落ち着いた動きとなったことから,運輸・通信業の実質賃金は,55年の2.3%の減少から56年は1.5%の増加に転じた 〔1−3−19図〕。
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運輸業の平均賃金が比較的高いのは鉄道業の賃金水準が高いためであるが,業種別にみるとかなりの格差がみられ,道路運送業では全産業平均を下回っている。56年の現金給与総額を業種別にみると,鉄道業は31万2,032円で対前年比6.9%増となり,全産業平均を上回る伸び率であった。内訳をみると,定期給与では,道路貨物運送業が対前年比5.8%増となり,全産業平均を上回る伸び率であった。特別給与では,鉄道業の水準が高く対前年比10.7%増であった 〔1−3−20表〕。なお,労働省「賃金構造基本統計調査」(昭和56年6月)により職種別の賃金水準をみると, 〔1−3−21表〕のとおりとなっている。
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船員の賃金を海運業についてみると56年の平均月間現金給与総額は35万6,288円で,対前年比6.6%増であった。これを部門別にみると,外航で43万3,454円(対前年比8.8%増),内航で31万3,322円(同6.3%増)となっており,定期給与ではそれぞれ37万6,531円(同7.1%増),28万4,312円(同5.9%増)であった。57年春の労働協約改定交渉において妥結をみた賃金の上昇率は,外航,近海,内航,大型カーフェリー及び漁業大型船の各業界とも6・31〜7・39%であった。
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