4 労働力の高齢化


  我が国人口の高齢化の進展について,厚生省人口問題研究所「日本の将来推計人口」によりみると,55年から75年(西暦2,000年)の間に,15歳以上人口は8,948万人から1億556万人へと約1,608万人増加するが,その90%強に当たる1,542万人は高年齢層(55歳以上層)での増加によるものであり,15歳以上の人口に占める高年齢者の割合も17.7%から34.2%へと高まることが見込まれている。人口の高齢化を反映して,労働力人口の高齢化が進展することになる。雇用政策調査研究会「労働力需給の長期展望」によると,労働力人口は,全体として,55年の5,650万人から75年には6,413万人と約760万人増加するが,労働力人口全体に占める高年齢者の割合は,55年の16.1%から75年には23.0%へと高まり,労働力人口の約4分の1が高年齢者という状況になることが見込まれている 〔1−3−22図〕

  56年6月現在の運輸・通信業従事者の平均年齢は,全産業平均を2.1歳上回る39.0歳で,5年前に比べて1.5歳上昇した。業種別にみると,国鉄は,51年の40.8歳に対し,56年には39.3歳となり,平均年齢の低下傾向がみられる。一方,道路旅客運送業では37.9歳から41.3歳に上昇して国鉄を上回り,道路貨物運送業でも36・7歳から38.3歳に上昇し,高齢化傾向が見られる。56年の年齢別労働者構成を業種別にみると,国鉄は,40歳以上層が46%(51年57%)と著しく減少し,30歳台では27%(同22%),20歳台では,24%(同18%)と増加した。一方,道路運送業の高齢者層の増加が目立っており,特に,道路貨物運送業では,40歳以上層の割合が全体の4割以上を占めるに至った。船員については,50歳以上層が19.1%(同11.0%)に増えたが,40歳未満層では50.9%(同62.0%)となり減少した 〔1−3−23図〕

  次に,定年制の現状について,労働省「雇用管理調査」によりみると,運輸・通信業では,56年1月現在で何らかの形で定年制を定めている企業は,常用労働者数30人以上の調査事業所のうち79.6%となっており,全産業平均の81.0%をやや下回っている。そのうち一律に定年制を定めている企業は67.9%で,全産業平均の60.0%を上回った。定年年齢別にみると,59歳以下とする企業が66.6%であるのに対して,60歳以上とする企業は33.4%となっている。これを51年1月と比較すると,59歳以下を定年年齢とする企業の割合は,51年の78.6%から56年には66.6%へと低下したのに対し,60歳以上を定年年齢とする企業の割合が,51年の21.4%から33.4%へと高まっている 〔1−3−24図〕


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