2 オンラインシステムの具体例


  57年3月より本格稼動を開始した横浜市港湾局業務システムもオンラインシステムの例といえよう。このシステムは,センター・コンピュータと港湾局の海務課・港営課及び埠頭事務所等に設置した端末機とを通信回線で接続し,横浜市港湾局の所管業務をオンライン等で処理することにより,業務の迅速化・正確化を図り,公共港湾施設の効率的な管理・運営及び港湾施設利用者の利便向上を図ることを目的としている船舶・貨物・施設管理を包含したシステムであり,次のような業務が電算化されている。

ア 船舶入出港業務

  船会社等から提出される船舶入出港予定・岸壁使用願・動静通知等の受取,入港予定船舶の船席指定(使用許可),入出港船舶の港内運航予定時間の決定,船舶動静の把握及び船舶の着離岸の管理を行うとともに,これらの情報に基づく管理資料の作成を行う。

イ 上屋・荷さばき地管理業務

  海貨業者・エゼント業者等から提出される上屋・荷さばき地の使用許可願,使用完了届等に基づき,施設の許可管理を行い,また搬入届・搬出届等に基づき貨物管理を行うとともに,これらの情報に基づく管理資料の作成を行う。

ウ 物揚場他公共港湾施設管理業務

  物揚場(本牧建材埠頭を含む)・ガントリークレーン・LFSクレーン・臨港鉄道等の一般使用施設及び埠頭用地等の専用使用施設等について,施設使用者から提出される使用願に基づき,これらの施設の管理を行うとともに,これらの情報に基づく管理資料の作成を行う。

エ 料金徴収業務

  公共港湾施設等の使用に伴う使用料・入港料等の各種港湾収入について,その調定・納入通知書の作成及び収納消込み等を行うとともに,これらの情報に基づく管理資料の作成を行う。

オ 統計作成業務

  上記各業務で必要とする月次及び年次の統計資料の作成を行う。
  本システムの稼動により,事務の迅速化,効率化,公共港湾施設の効率的管理・運営,港湾関係者の施設利用の円滑化,業務の効率化が図られている。
  また,無線とコンピュータとを結びつけ業務の効率化に活用している場合も最近みられる。タクシー業におけるAVMシステムはその一例といえよう。このシステムは,無線車,各地区信号送信局,無線基地局,配車指令室から構成され,乗務員の料金メーター操作及び配車指令室からの呼び出し操作などにより,無線タクシーの空車・実車状況と現在位置,無線車ナンバーが配車指令室のコンピュータ表示盤に自動的に表示される。このため,配車指令はもとより,空車の現状把握など無線タクシーの動態管理が一瞬のうちに処理できタクシーの効率的運用が図られている 〔1−4−9図〕

  運輸業における情報ネットワークシステムの形成は欧米諸国でも盛んに行われている。ヨーロッパにおいては,ブレーメン港等の各港毎での情報処理システムの導入はもとより,アントワープ,ブレーメン,ブレーマーハーフェン,グラスゴー,コペンハーゲン,ジェノバ,ハンブルグ,ルアーブル.ロッテルダムの9港を結び船舶動静を中心とした情報のやりとりを行うインター・ポート・コミュニケーション・システムの開発が進められている。
  アメリカにおいては,国際貿易に関係する当事者である,荷主,海貨業者,通関業者,船会社,銀行,保険会社,港湾当局,税関等を相互に接続し必要な情報のやりとりを行う貨物情報交換システム(CARDIS)が開発され,既にヨーロッパとの間でデータ伝送テストが行われている。


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