4 公共性の高いシステムの開発


  また,運輸省では財団法人運輸経済研究センター等を指導して,次のような公共性の高いシステムの開発を推進している。

(1) 港湾貨物情報ネットワークシステムの利用に関する調査・研究

  前記の横浜市港湾局業務システムが港湾管理者の業務をシステム化したものであるのに対し,このシステムは港湾における4業種,具体的には船会社,海貨業者,検量業者,検数業者の間にコンピュータ・ネットワーク・システムを組み上げたものである。本調査・研究では,このシステムを利用して関係書類の作成や交換を行おうというもので,56年度には,関係4業種を結ぶネットワークシステムを構築し,57年度には,システムの試行実験を行うこととしている。

(2) 国際航空貨物輸送情報システム開発に関する調査

  我が国の国際航空貨物輸送は,近年伸長の一途をたどっており,今後とも引き続き増大していくことが予想されているが,その輸送手続は依然として煩雑であり,合理化が緊要の課題となっている。
  このため,運輸省は国際航空貨物輸送手続の簡素化,事務処理の迅速化,正確化を図るため,航空会社,代理店,混載業者等の情報処理システムを国際通信回線により海外の関係企業のシステムと相互に結合し,必要情報を伝送する国際航空貨物輸送情報システムの開発に関する調査・研究を実施しており,56年度においては,システムの基本的な業務処理モデルの整理と今後ネットワークシステムを構築していくための諸条件につき検討した。
  また,航空貨物運送業務においては,特に危険品等の特殊貨物を取り扱う際,膨大かつ複雑な体系下にある国内・国際の法規に従って手続を行うことが要請され,関係者はこれら関連法規関係情報の検索及び必要な手続の処理に多大な労力を費やしている現況にかんがみ,これら取扱業務の迅速,的確化に資するため,57年度においては,これら航空貨物に係る情報を一元的に管理し,容易に検索することのできるデータバンクシステムの開発に関する調査を行うこととしている。

(3) 貿易関係手続のシステム化に関する調査・検討

  このほか,運輸省の指導により貿易関係手続のシステム化を進めるため財団法人日本貿易関係手続簡易化協会において,貿易関係書類,貿易関係コード,データ・エレメント,データ交換ルールの国際標準化について検討を行った。また,57年度より,かねてから懸案であった我が国の輸出入者標準コードの開発を行うこととしている。


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