5 今後の課題


  前述の実態調査で中小運輸業者においてコンピュータの利用が急速に進んできているというものの,運輸業の大半を占める中小企業は,まだまだ資金力がなく脆弱でシステム化への投資を行う余裕があまりない。また,システムを導入してもそれを的確に運用していく要員が不足していること等の問題もある。このような問題を解決していくには,中小運輸業者にも容易に利用でき,業務にもよく適合したよりよい汎用ソフトウェアを開発し,その流通を図っていくこと,更に,中小運輸業向けの使いやすく低廉な専用機器の開発を考えていくことが必要であろう。また,運輸業においては,従来からいわれているように各社で使用している帳票,コードが様々であり,これがシステム化していく際の大きな障害となっている。帳票,コードを標準化,統一化し,その普及を図っていくことは,事務処理の効率化にメリットがあり,情報システムネットワーク化を推進するためにも実現しなければならない課題である。
  公衆電気通信法の一部改正が行われ,57年10月よりデータ処理のための回線利用が原則として自由となったが,このような情報化の進展の波に運輸業界も乗り遅れることなく,効率的な運輸情報システムを形成するため,自社内あるいは企業間・業種間でコンピュータと通信回線とを結合した情報ネットワークシステムを整備していくことが必要といえよう。


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