4 環境影響評価の推進
公害や自然破壊が発生してから事後的に対応するのではなく,これらの発生を事前に予見し,抑止するための所要の措置を講じることによって環境汚染の未然防止を図ることが極めて重要であることは,今や我が国のみならず国際的にも共通の認識になっている。
環境影響評価は,環境に著しい影響を及ぼすおそれのある大規模な開発事業等の実施に当たって,それが環境に及ぼす影響について事前に調査,予測及び評価を行い,その結果を公表するとともに,これに対する関係行政機関や関係地域の意向を十分に把握した上で,事業の実施に際し公害の防止,自然環境の保全上適切な配慮がなされることを期するものである。
運輸省所管の計画・事業に係る環境影響評価に関しては,47年6月の「各種公共事業に係る環境保全対策について」の閣議了解の趣旨を踏まえて,港湾計画及び公有水面埋立についてはそれぞれの個別法(港湾法,公有水面埋立法)の手続に際し,新幹線鉄道については54年1月の「整備五新幹線に関する環境影響評価の実施について」の運輸大臣通達に基づいて逐次環境影響評価を進めている。また,空港整備においては,関西国際空港について,56年5月,運輸省は,空港計画案とともに環境影響評価案を地元関係府県知事に提示し,意見交換を進めてきたところである。
一方,51年以来懸案となっていた環境影響評価手続等の法制度化については,56年4月,政府案が環境影響評価法案として第94回通常国会に提出された。その後,同法案は,第95回臨時国会の衆議院環境委員会において提案理由説明,第96回通常国会において法案審議の開始を経て,現在継続審議となっている。
今後も空港,港湾,鉄道等の運輸関係諸施設の適切かつ円滑な整備を図ることが緊要であるが,これらの整備に際しては,環境保全上の問題を惹起しないよう,更に環境影響評価の着実な推進及び実施体制の整備充実を図っていく必要がある。
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