2 臨調答申に対する政府の対応


  政府は,臨調答申を受けて8月10日に答申に関する対処方針として,これを最大限に尊重し,当面具体化を急ぐべき措置については速やかに成案を得て所要の施策を実施に移すとともに,制度改革を伴う基本問題等今後の検討及び処理にゆだねられた事項の取扱いについても逐次所要の結論を得てその実現を図るよう措置するとの閣議決定を行った。また,同日,行政改革の実現に関し,政府としての固い決意を表明するとともに,国民の理解と協力を求める旨の政府声明を行った。
  引き続き政府は,国鉄の事業再建問題に対処するため,まず8月27日に,総理府に国鉄再建監理委員会を設置することとし,その準備に当らせるため内閣に国鉄再建監理委員会設置準備室を置く旨の閣議了解を行った。更に,9月24日には,「日本国有鉄道の事業の再建についての政府声明」により,国鉄経営について緊急事態宣言を行った。その内容は次のとおりである。
  「国鉄の経営は,未曽有の危機的状況にあり,一刻の猶予も許されない非常の事態に立ち至っている。
  今やその事業の再建は国家的課題であり,政府は,総力を結集してこれに取り組む所存である。
  国鉄全職員は,このような現下の状況を改めて強く認識して再建にまい進すべきである。
  政府は,ここに固い決意を表明し,広く国民各位の御理解と御協力をお願いする。」
  また,同日,「今後における行政改革の具体化方策について」が閣議決定され,その中で,国鉄再建問題についての今後の具体的な取組,手順の方向づけを行った。その概要は次のとおりである。
 @ 日本国有鉄道の改革については,臨調答申に沿って,5年以内に事業再建の全体構想を設定しその実現を図る。
 A 国鉄再建監理委員会の設置のための法律案を次期国会に提出するものとし,関係法律案の立案等諸般の準備を進める。
 B 国鉄再建関係閣僚会議を設置する。
 C 日本国有鉄道の経営の危機的状況にかんがみ,当面緊急に講ずべき対策については,早急にその実施方針を確立し,逐次これを実施に移すものとし,その細目については,田本国有鉄道の事業の再建を図るために当面緊急に講ずべき対策について」(後述)によるものとする。なお,これに伴い,当面の緊急対策の実施の推進を図るため,運輸省及び日本国有鉄道において所要の体制を整えるものとする。

  このうち,国鉄再建関係閣僚会議は,日本国有鉄道の事業の再建を推進するに当たり,重要な施策等について協議・調整を行うため,内閣に設置され,内閣総理大臣が主宰することとされた。
  また,併せて閣議決定された「日本国有鉄道の事業の再建を図るために当面緊急に講ずべき対策について」により,臨調答申の趣旨に沿って当面緊急に講ずべき対策が定められた 〔2−1−12表〕
  以上のような一連の措置により,国鉄再建監理委員会の設置に先立って国鉄再建問題に対する強力な推進体制が整備され,政府として緊急対策の実施を強力に推進していくこととなった。


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