2 貨物輸送
(1) 世界の輸送活動
(世界の海上荷動き量は3年連続減少)
第2次石油危機以降の世界同時不況の進展と保護貿易主義の高まりの中で世界貿易は80年代に入り縮小傾向をみせ,82年は数量ベース(共産圏を除く輸出)で対前年比4.3%減と81年(0.6%減)に引き続く減少となった。
82年の世界の海上荷動き量をみると,トン数ベースでは32億1,300万トン(推計値),対前年比8.4%減,トンマイルベースでは過去10年間で最低の14兆1,900億トンマイル(推計値),同10.4%の大幅減となり,トン数,トンマイルとも3年連続の減少となった。これを品目別にみると,世界経済の低迷,省エネルギーの進展等により原油が3年連続の大幅な減少となったこと,世界的な鉄鋼需要の減退により石炭が4年ぶりに減少に転じたことが目立っている。なお,世界における我が国輸出入貨物の海上荷動き量(トンマイルベース)のシェアは前年に比べ2.1ポイント増の25.1%(このうち,原油,鉄鉱石,石炭及び穀物のシェアは,それぞれ16.8%,54.4%,45.2%,21.2%)であった。
(世界の国際航空貨物輸送量は増加続く)
また,世界の国際航空貨物輸送量(不定期を除く。)の動向をみると,82年は伸び率が鈍化したものの依然増加を続けており,トン数ベースで対前年比1.3%増の468万9,000トン(推計値),トンキロベースでは同3.6%増の224億9,000万トンキロ(推計値)であった 〔1−1−6図〕。このうち,我が国のシェア(トンキロベース)は,ICAO加盟150か国中第3位の8.8%であり,前年に比べて0.4ポイント増加している。
(2) 我が国をめぐる輸送活動
(我が国の海上貿易量は輸出入ともに減少)
57年の我が国の海上貿易量(トン数ベース)は,輸出は世界経済の停滞の長期化等により対前年比1.9%減と50年以来7年ぶりに減少し7,591万トンとなった 〔1−1−7表〕。これを品目別にみると,過去5年連続して減少していた鉄鋼は米国向けが大幅に減少したものの,サウディ・アラビアや中国向け輸出の好調等により対前年比1.1%増となったが,乗用車,機械類,電気製品といった主要輸出品目がそれぞれ3.4%,8.4%,4.6%減少したことが注目される 〔1−1−8図〕。これは,欧米先進諸国の景気停滞による需要の伸び悩みや貿易摩擦問題などが原因と考えられる。地域別には,特に中近東向け輸出が増加しているのに対し,北米向けが減少している。一方,輸入は,国内需要の回復力が盛り上がりを欠いたことを反映して,対前年比1.5%減と55年以降3年連続減少の5億5,906万トンとなった。これを品目別にみると,石炭が代替エネルギーとしての需要を維持し対前年比1.0%の増加,木材が在庫調整の進展に合わせて6.4%の増加を示したが,原油が国内生産活動の停滞や石油消費節約の進展から6.7%減と3年連続して減少したことが目立っている。地域別にみると,近年,特に中近東からの輸入が徐々に減っているのに対し,アジア,北米は増加している。
23.0%,輸入も3.8ポイント増の40.4%となった。
(我が国の国際航空貨物輸送量はドルベースで初めて減少)
次に,57年度の国際航空による我が国の国際航空貨物輸送量をみると輸出はトン数ベースで31.4万トン,対前年度比4.8%増であった。またドルベースでは,同1.7%減の117億ドルと初めて前年度水準を下回った。品目別(ドルベース)にみると, 〔1−1−9図〕のように,事務用機器,半導体等が増加したものの,世界景気の停滞による海外在庫増を反映して科学光学機器(カメラ等),時計,テープレコーダー等が減少している。また,航空化率をみると,半導体等の増加が著しく全体では8.5%と前年度に比べて0.7ポイント上昇した。一方,輸入はトン数ベースで対前年度比0.2%減の27.1万トン,ドルベースでも同19.2%減の118億ドルとなった。品目別(ドルベース)にみると,電気計測機器,通信機器類等は増加したが,非鉄金属,半導体等が減少している。航空化率をみると,非鉄金属,金属製品等が減少し,全体では9.3%と前年度に比べ0.9ポイント下回った。
また,我が国航空企業の輸送活動をみると,トン数ベースで輸出は対前年度比5.4%増の11.4万トン,輸入は同3.6%減の11.2万トン,三国間は同36.8%増の2.9万トンであった。これにより,我が国航空企業の積取比率は,前年度に比べ輸出が0.3ポイント増の36.4%,輸入が1.4ポイント減の41.4%となった。
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