4 空港整備事業の推進


(1) 空港整備五箇年計画

  航空需要の急激な増大に対処するため,42年度以来空港整備五箇年計画を策定し,空港の整備を計画的かつ強力に進めてきた。
  しかしながら,現在需要が集中している首都圏,近畿圏の空港はもはやほとんど飽和状態にあり,大型機の導入による輸送力増強も限界に達しつつあること,地方空港についても,輸送力増強に極めて有効なジェット化・大型化に対応するための整備が進んでいないものがあること,さらに,国際空港については,空港能力の制約等のために諸外国からの乗り入れ,増便の要求に応じられないこと等の問題が生じている。このような情勢にかんがみ,空港の整備を引き続き強力かつ計画的に実施するため,56年度に第4次空港整備五箇年計画が策定され,同計画に基づき,空港の整備を推進している 〔1−2−8表〕
  この計画では国際及び国内の航空輸送に対する国民の要請に応えて,新東京国際空港の整備を図り,東京国際空港の沖合展開について環境の保全に配慮しつつその推進を図るとともに,関西国際空港建設計画について総合的な調査検討を進め早期に結論を得た上その推進を図ることとしているほか,空港周辺における環境の保全及び航空交通の安全の確保を図りつつ一般空港のジェット化,大型化等の整備を積極的に推進することとしている。

(2) 57年度空港整備事業

  57年度の一般空港整備事業は,第4次空港整備五箇年計画の第2年度として,事業費686億円をもって空港の整備を推進した。
  東京,大阪の両国際空港については,我が国航空ネットワークにおける基幹空港としての機能を確保するための整備を実施しており,滑走路,誘導路等の改良を行った。
  地方空港については,就航機材のジェット化,大型化に重点をおいた整備を促進した。すなわち,就航機材の大型化を図るための整備としては,新たに着手した宮崎,帯広空港の他に大分空港等4空港において滑走路の新設又は延長事業を実施した。また,ジェット機を就航させるための事業として,新たに着手した福江,新奄美空港の他に,高知空港等11空港において滑走路の新設又は延長事業を実施した。
  なお,57年度をもってジェット化のための事業が完了した空港は,花巻(58年3月供用),旭川(57年7月供用),対馬(58年4月供用)であり,さらに滑走路延長事業が完了したものは,宮古空港の1,500メートルから2,000メートルへの延長事業及び大分空港の2,000メートルから3,000メートルへの延長事業のうち2,500メートルまでの事業である。
  この結果,58年5月現在全国77空港のうち34空港がジェット化された。

(3) 空港整備の今後の課題

  (大都市圏の空港整備が緊急課題)
  今後とも,ジェット機就航可能空港は,更に増加することになるが,国内定期航空路線網の中心となっている大都市圏空港が環境問題による使用制限等もあって処理能力に限界があるため,地方空港がジェット機の就航が可能な状態になっても路線就航機材をジェット機に切り替えられないというような状況が生じ始めている。また,諸外国からの増便等の要請に対し空港能力の制約等のためにこれを認めることのできない場合があり,これらの状況を打開するためには,第2部第2章で述べるように,基幹空港の整備を推進することが緊急の課題である。


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