5 第9次道路整備五箇年計画


(1) 道路整備五箇年計画

  道路整備五箇年計画は,道路交通の安全の確保とその円滑化を図るとともに,生活環境の改善に資し,もって国民経済の健全な発展と国民生活の向上に寄与することを目的として,29年度に第1次を発足させた。以来,8次にわたる五箇年計画を積み重ね,その間,我が国の道路整備も着実な進展をみてきている。53年度を初年度とする第8次道路整備五箇年計画は57年度をもって終了したが,本計画では総事業費28兆5,000億円の計画額に対し28兆8,239億円の実績をあげ,目標達成率101.1%で計画期間を終了した。
  第9次道路整備五箇年計画(58〜62年度)は,58年2月4日に総投資規模38兆2,000億円とすることで閣議了解され,その後事業内容について検討を進め,道路整備緊急措置法の一部改正が行われたのを受けて,58年5月27日に閣議決定された。第9次道路整備五箇年計画においては,国民生活の向上と国民経済の健全な発展を図るため,国の経済及び国土総合開発に関する長期計画に即して,日常生活の基盤としての市町村道から国土構造の骨格を形成する高速自動車国道に至る道路網を,適正な道路空間の確保に配意しつつ,計画的に整備することにより,道路交通の安全の確保とその円滑化を図るとともに,生活環境の改善に資し,もって均衡ある国土の利用,輸送の合理化及び豊かな地域社会の形成に寄与することを今後の道路整備の基本的な方針としている。これに必要な事業のうち緊急を要するものについて,58年度以降5か年間に地方公共団体の行う単独事業等を含めて総額38兆2,000億円(調整費1兆3,000億円を含む。)を道路整備に投資するものとし,このうち国がその整備に要する費用を負担し又は補助する道路,日本道路公団,首都高速道路公団,阪神高速道路公団及び本州四国連絡橋公団の行う有料道路並びに国の助成を受けて地方公共団体,地方道路公社等の行う有料道路の整備に関し,道路整備五箇年計画として,調整費を充当するものを除き,総額25兆2,000億円に相当する事業を行うものとしている 〔1−2−9表〕
  計画期間中における道路整備の目標及び事業量は次のとおりである。
 @ 道路交通の安全を確保するため,歩道,自転車道の整備,落石等危険箇所における防災対策,橋梁等の耐震性の向上を図る震災対策,広域避難地へ通ずる避難路の整備,踏切道の改良等を推進する。歩道等についてはその設置道路延長をおおむね10万キロメートルの水準に引き上げることを目途に整備を促進し,防災・震災対策については対策を要する箇所をおおむね解消することを目途に,また避難路の整備については,3大都市圏の既成市街地等を重点に事業を推進する。これらに要する事業費は,6兆3,700億円である。
 A 国民生活に必要な基盤を整備するため,交通不能区間の解消,木橋,老朽橋の架け替え,バス路線に係る道路の整備等地域の交通を支える道路網の整備,住宅宅地,ダム等に関連する道路の整備を推進する。また,奥地等産業開発道路及び離島,山村,過疎地等における道路の整備を推進する。これらに要する事業費は,3兆9,300億円である。
 B 生活環境の改善を図るため,交通混雑が特に著しく沿道環境が悪化している区間に係るバイパス等の建設及び良好な市街地を形成するための道路の整備を推進するとともに,特に既設道路にあっては緊急に対策を要する区間に重点を置き,植樹帯,遮音壁の設置,沿道整備事業等道路環境保全のための事業を推進する。また,連続立体交差事業及び都市モノレール・新交通システムに係る道路,自転車駐車場,共同溝等の整備を推進する。これらに要する事業費は,3兆8,100億円である。

 C 国土の発展基盤を整備するため,高速自動車国道,本州四国連絡橋,都市高速道路等高規格の幹線道路網についてその整備を推進する。高速自動車国道については,計画期間中に既供用区間を含めおおむね4,300キロメートルの区間を供用することを目途に,東名及び名神高速道路の改築を推進する。また,都市機能の向上と広域的な都市圏の形成に資する都市高速道路,湾岸道路,環状道路等の整備を図る。これらに要する事業費は,7兆5,800億円である。
 D 道路を良好な状態に保全し安全かつ円滑な道路交通を確保するため維持管理の充実を図るとともに,積雪寒冷特別地域における冬期交通の確保を図るための事業を拡充する。これに要する事業費は,3兆5,100億円である。


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