2 臨調答申に対する政府の対応
(具体化方策を閣議決定)
政府は,臨調答申を受けて国鉄の事業再建問題に対処するため,まず57年8月27日総理府に国鉄再建監理委員会を設置することとし,その準備に当らせるため内閣官房に国鉄再建監理委員会設置準備室を置く旨の閣議了解を行った。さらに,9月24日には,「日本国有鉄道の事業の再建についての政府声明」により,国鉄経営について緊急事態宣言を行った。
また,同日「今後における行政改革の具体化方策について」が閣議決定された。この中で国鉄の改革については,臨調答申に沿って,5年以内に事業再建の全体構想を設定しその実現を図ること,国鉄再建関係閣僚会議を設置すること等が決定された。
(10項目の緊急対策を閣議決定)
この閣議決定と併せて同日閣議決定された「日本国有鉄道の事業の再建を図るために当面緊急に講ずべき対策について」においては,臨調答申を受けて,職場規律の確立,新規採用の原則停止,設備投資の抑制等の各項目にわたって緊急対策に取り組むこととされた。
さらに,当面する緊急対策を着実に実施していくため,運輸省は同日「国鉄再建緊急対策推進本部」を発足させた。同本部では所要の施策の具体化に取り組むため,緊急対策についての取組み方針及び今後の進め方を決定し,そのなかで設備投資,貨物輸送の合理化,地方交通線の整理の促進等の項目についてそれぞれプロジェクト・チームを設置して検討を行うこととし,58年1月25日に各施策の基本的考え方,当面の実施方針等各チームの検討結果を取りまとめた。
また,国鉄においても,57年9月24日の閣議決定に伴い,緊急対策実施推進本部を設置し,全社一体となって緊急対策の実施に取り組む体制を整えた。
これらの取組みに加え,12月7日には国鉄の経営する事業の再建の推進にあたり,関係省庁間において緊密な連絡をとりつつ所要の施策の円滑な実施を図るため,内閣総理大臣を本部長,総理府総務長官及び運輸大臣を副本部長とする国鉄再建対策推進本部を内閣に設置した。
58年3月,臨時行政調査会は,最終答申を提出して解散したが,最終答申は国鉄の改革については57年7月の第3次答申(前述)で指摘した改革方策を早急に実施すべきであるとしている。
これを受けて政府は,58年5月「臨時行政調査会の最終答申後における行政改革の具体化方策について」を閣議決定したが,その中で国鉄の改革については,「日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法」(後述。以下「国鉄再建臨時措置法」という。)の成立を受けて,速かに国鉄再建監理委員会の発足を図ること等について決定した。
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