2 これまでの空港整備
(空港整備五箇年計画の推進)
前述のように航空が黎明期を経て急激な成長を続けていく中で,需要の増大に対応して空港の整備が進められたが,40年代に入り航空機事故が続発して航空交通の安全確保の必要性が痛感されるとともに,機材のジェット化や空港周辺地域の都市化が進展するにつれて発生した航空機騒音問題が新たな行政課題として登場するに至った。
このため,空港整備の推進とともに航空保安施設等の整備,空港周辺環境対策の推進を図る観点から,42年度には「空港整備五箇年計画」が策定され,計画的かつ強力に空港整備事業が推進されることとなった。これまで策定されてきた空港整備五箇年計画の概要は, 〔2−2−2表〕のとおりである。
この間,45年度には,運輸大臣の行う空港整備事業に係る経理の明確化を図るとともに受益者負担の一層の推進を図る観点から「空港整備特別会計」が創設され,財源面での強化が図られている。また,政府経済計画においても「新経済社会発展計画」(計画期間45-52年度)において初めて「航空」は部門別公共投資に特掲され,公共事業の1分野としての地位を確立するに至った。
現在は,56年12月11日閣議決定された第4次空港整備五箇年計画(計画期間56-60年度)の計画期間中であるが,同計画における事業別の実施の目標は次のとおりである。
(1) 空港の整備
@ 航空による国際交流の増大と国内航空ネットワークの充実に対する国民の要請にこたえるため,新東京国際空港の整備を図り,東京国際空港の沖合展開について環境の保全に配慮しつつその推進を図るとともに,関西国際空港建設計画について総合的な調査検討を進め早期に結論を得た上,その推進を図る。
A 国内航空輸送需要の増大に伴う就航機材のジェット化,大型化等に対処するため,一般空港について滑走路の延長等所要の整備を図る。
(2) 空港周辺環境対策事業の推進
航空機騒音に係る環境基準の達成のため必要な住宅の騒音防止工事の助成,建物の移転の補償等空港周辺対策事業の推進を図る。
(3) 航空保安施設等の整備
航空交通の増大と多様化に対処して安全の確保及び空域利用の効率化を図るため,航空路及び空港における航空保安施設,管制施設等の整備を図る。
以上のような空港整備事業の推進により,空港数は42年度の52から57年度末現在77に,うちジェット化空港数は6から33になる等一般空港の整備についてはおおむね着実な進捗をみせてきた 〔2−2−3図〕。
これは,地域間格差を是正し,国土の均衡ある発展と我が国経済社会の活性化に多大の貢献をなすとともに,離島等についてはその隔絶性の緩和に寄与し,民性の安定と福祉の向上に資するものであった。
しかしながら,我が国航空輸送の2大拠点となっている首都圏及び近畿圏の空港の整備は,地元の理解と協力を得て進めていくこと等が必要であることから後述するように現状ではいまだ立ち遅れており,今後早急に改善していくことが必要である。
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