3 貨物流通行政の基本的方向
(効率的な貨物流通体系の確立)
貨物流通の分野においては,経済の安定成長への移行,工業製品の軽薄短小化などにより,高度成長期のような貨物流通の量的増加は見込まれなくなっている。一方,スピード,頻度,付帯サービス等サービスの内容の高度化に対する要求は高まりをみせており,宅配便のように物流サービスの質的改善を図ることにより,新規需要を開拓し,高い成長を示している分野もある。
今後の貨物流通行政の基本的方向は,こうした情勢の変化に対処して,物量ベースを中心に進めてきた政策からサービスの質の向上に政策の重点を移し,高度化,多様化した産業界及び一般消費者のニーズに対応した効率的な貨物流通体系の形成を図ることである。具体的には,
@ 複合一貫輸送等産業界のニーズに対応する物流体制の整備
A 宅配便,トランクルーム等いわゆる消費者物流における適正な利用関係の確立
B 物流VAN(付加価値通信網),港湾貨物情報ネットワークシステム等貨物流通情報システムの整備
C エレクトロニクスを活用した荷役の機械化等新しい貨物流通技術の開発
等を推進する必要がある。
また,このような政策の進め方としては,従来の交通機関別アプローチから発想を転換し,貨物の流れそのものに着目して,その流通経路,物流上の問題点等を明らかにしつつ,これを踏まえて,今後の経済社会の進展に即した新しい貨物流通政策の諸課題とその実現方策を明らかにしていく必要がある。
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