5 海上技術安全行政の基本的方向
(ハードとソフトの融合)
四面を海に囲まれた貿易立国である我が国にとっては,船舶に関する技術革新を推進し,船舶の高信頼度化・知能化等を図るとともに,船員制度の近代化を推進することにより,海上における安全の確保を図りつつ,我が国海運の国際競争力の回復を図ることは極めて重要な課題である。
海上技術安全行政の基本的方向は,このような課題に的確に対処するため,将来における高度の技術革新に対応した船舶技術と運航技術を研究開発することによりハードとソフトの融合をめざし,これらの研究開発を基礎とした船舶の構造設備に関する規制と船員の資格,訓練等に関する規制を通じて海上における安全を確保することである。具体的には,
@ 高信頼度知能化船,マンマシーンインターフェース技術(人間工学的観点を考慮した機械等の開発技術)等船舶に係るハード面,ソフト面の一体的技術開発
A 安全性向上のための技術開発,SOLAS条約等に対応した安全に関する技術基準の整備,円滑な船舶検査体制の整備
B 大型浮遊式海洋構造物,海洋開発用船舶の開発等海洋開発技術分野における多角的かつ総合的な対応
C 船舶の技術革新に対応した新しい船内職務体制等の確立による船員制度近代化の推進
D 長期的船員需給見通しの下における船員の教育養成と雇用対策の充実
E 造船業と舶用工業の活性化,魅力ある産業への育成と国際化の進展への即応
等を推進する必要がある。
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