2 地域交通行政の展開


 (地域交通政策の総合的な展開)
  このような状況に対応するためには,各交通機関を単に縦割りで把えるのではなく,それらの特性を総合的に把握するとともに,地域の特性,利用者のニーズについてもきめ細かく汲み上げ,各交通機関の特性と利用者の選好を生かした効率的で質の高い地域交通ネットワークの形成を図る必要がある。このため,国,地方公共団体,交通事業者,利用者等が相互に連携を保ちながら,それぞれの立場から協力関係を強化し,長期的な視野に立った地域交通政策を総合的に展開する必要がある。
 (進む地域交通計画の策定)
  このような間題に対応して地域交通ネットワークの改善を図るためには,きめ細かく地域の実情を反映しつつ,長期的な視野に立って地域交通の未来像と望ましいあり方に関する総合的な対策を提示するとともに,行政,企業,利用者の行動指標となる交通計画を地域ごとに策定する必要がある。
  こうした観点から,運輸省では,56年度以来,地方運輸局長(59年6月までは陸運局長)が地方交通審議会(59年6月までは地方陸上交通審議会。学識経験者,地方公共団体及び関係行政機関の代表,利用者代表,労働者代表等で構成)に諮ったうえで,原則として府県単位に長期的な展望に立って地域交通のあり方を示した地域交通計画を策定してきている。地域交通計画は58年度末までに21県で策定されており,これらの計画においては,輸送需要に応じた在来鉄道の活用策,バス路線網の再編,都市新バスシステムの導入,乗継運賃導入等の対策が盛りこまれている。運輸省としては,計画を指針として行政処分,交通網整備の助成等地域公共交通対策に適切な配慮をするよう努めるとともに,未策定の地域においても,計画の策定を早急に進めることとしている。


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