2 先進国との国際協力
国際社会における我が国の地位の向上及び国際間の相互依存関係の緊密化により,我が国には国際経済,社会において積極的役割を果すことが求められており,経済,技術等の領域で広く国際協力を推進する必要性が高まっている。このような背景の下で,我が国は,米国及びECと並ぶ世界経済の極として,資源,エネルギー,環境,食料等世界全体が直面する諸問題の解決のため,運輸部門における二国間,多国間の科学技術協力を様々な分野で行っており,今後とも先進国との関係を一層強化し,運輸部門の国際協力を促進することとしている。
(1) 二国間科学技術協力
運輸部門の二国間科学技術協力として,日米間では,両国が直面している運輸問題について両国の専門家による情報交換,意見交換の場として日米運輸専門家会議が開催されており,昭和58年4月の第14回会議では都市交通,自動車安全技術,海事問題等について意見交換が行われた。また,米国の要請によりボストン・ワシントン間の都市間輸送,通勤輸送の改善を目的とする北東回廊改良計画に対する政府ベースの技術協力を53年度から実施している(59年度末に終了)ほか,民間ベースの技術協力としてロス・サンディエゴ,オークランド・タンパ・マイアミ間等における高速鉄道計画に対する協力が行われている。このほか,日米環境協力協定に基づく第9回有害底質の処理処分に関する日米専門家会議(58年10月)において浚渫土の処理等に関して意見交換が行われた。また,天然資源の利用に関する日米専門家会議(UJNR)第12回海底調査専門部会(59年3月)で,ナローマルチビーム測深機を用いた海底地形調査について意見交換が行われた。また,同海底鉱物資源専門部会においては,船舶を使用して共同研究を行った。同海洋構造物専門部会(59年8,9月)では海洋機器開発の先端技術について意見交換が行われた。
また日豪間では,日豪科学技術協力第2回合同委員会において,気象,海洋開発等の分野での研究協力につき意見交換が行われた。日独間においては,日独科学協力第9回合同委員会が開かれ(59年10月),衛星による測地研究の協力が提案された。また同第9回環境保護技術パネルも開催された。このほか,日加科学技術協議,日仏科学技術協力協定に基づいて引き続き研究協力が行われている。
その他,先進諸国との二国間協力として,英,仏,西独等の運輸部門の専門家を招へいし,講演会の開催等を通じて人的交流及び情報交換の促進を図っている。
(2) 多国間科学技術協力
海洋開発分野では,海洋データの利用促進のため,ユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)の国際海洋データ交換システムにおける責任国立海洋データセンターを置いて海洋情報の有効利用を図っており,また国際水路機関を中心とした水路図誌の国際標準化等について,加盟国と情報交換を行っている。航路及び港湾については国際航路会議協会(PIANC),国際港湾協会,世界浚渫会議等の場を通じて国際協力を行っている。
気象の分野では世界気象機関(WMO)を通じて国際協力を行っており,世界気象監視計画(WWW)の一環として静止気象衛星ひまわり3号を59年8月に打ち上げ,運用している。
その他の分野ではサミットの合意に基づいて行われている高速鉄道プロジェクトに参加している。
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