1 長期債務問題


 (国鉄事業の再建上抜本的な解決が必要)
  国鉄の長期債務については51年度及び55年度に債務の一部(5兆599億円)を棚上げしたがそれ以降も,毎年累増を続け,58年度末で棚上げ分も含め20兆円にのぼり,その利子負担は58年度1兆4,000億円(助成後の実質負担利子は8,400億円)となり経営を著しく圧迫している 〔5−4−1図〕。この長期債務は設備投資に係るものと赤字による資金不足に係るものに大別され,58年度末でそれぞれ13兆円,7兆円に達し,また,その残高の内訳は財政融資13兆5,000億円,民間借入金8,000億円,自己調達債5兆3,000億円,一般会計4,000億円となっている 〔5−4−1図〕, 〔5−4−2表〕が,このまま推移すれば60年度末には長期債務は約24兆円の巨額に達するものと見込まれ,国鉄事業の再建を進める上で必須の解決すべき課題となっている。

  本問題については,国鉄再建監理委員会の第2次緊急提言においても経営形態の在り方等と同様に,基本的方向が示されている。具体的には,長期債務等については,新しい企業体による最大限の効率的運営を前提として,なお事業の遂行上過重な負担となるものについては,適切な方法によって処理をする必要があり,その具体的方法は,今後同委員会で引き続き検討するが,可能な限りの手だてを尽くした上で最終的には何らかの形で国民に負担を求めざるを得ないとしており,また将来にわたり国民にとって真に有用な鉄道事業が効率的かつ健全に運営されるという仕組みが確立されなければ負担について到底国民の納得が得られるものでなく,効率的な経営形態の確立と切り離して,この問題は解決しえない,としている。
  長期債務に係る利子負担は巨額のものとなっており,国鉄事業再建を図るうえで最大の問題であることから,今後,上記提言に示された方向に沿って,債務償還の財源のひとつとして国鉄用地の適切な処分・活用の在り方等を含め,長期債務問題についての抜本的な解決を図っていく必要がある。


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