2 余剰人員問題


 (雇用調整策の推進)
  58年度は,前述のとおり43,500人の要員縮減が行われたが,一方年度末の特別退職(民間企業の定年退職に相当する勧奨退職)者数は予定を下回る22,000人にとどまったため,差引き21,500人の余剰人員が発生し,これに58年度から持ち越した3,000人を含め59年度初には余剰人員は24,500人となった。
  国鉄における余剰人員問題は,輸送量の減少下における一層の要員合理化の必要性と退職者の減少傾向を背景として生じてきたものであり,今後,私鉄並みの生産性を前提とした場合,余剰人員は一層増加するものと考えられる。
  国鉄は余剰人員対策として従来から増収,経費節減,教育等の活用策を行ってきたが,余剰人員の規模及び見通しを勘案し,これらの活用策に加えて,有効な雇用調整策を講じていくことが必要であるとの判断にたって休職及び派遣制度の拡充を本年10月から実施することとなった。なお,雇用調整策の一つとして組合に提案していた退職制度の見直しについては,本年度末は従来と同様の取扱いとし,引き続き交渉することとなった。
  一方,前述のように,国鉄再建監理委員会の第2次緊急提言において,雇用調整策が確実に実施されること,国鉄において今の段階からこれに引き続く対策について検討すること,構内営業の一部直営化等によりできるだけ職域を拡大すること,以上の対策の円滑な推進を図るため政府部内一体となった強力な支援体制を整えることが指摘されているが,この提言を受け,国鉄においては,8月13日余剰人員対策委員会を設置し,本格的に余剰人員対策の調査審議及び推進を図ることとしている。
  運輸省は,8月22日の国鉄再建緊急対策推進本部の決定において,要員対策については,当面,国鉄に雇用調整策を確実に実施し,さらにこれに引き続く対策を検討するよう指示するとともに,その進行状況に応じ,緊急提言の趣旨に沿って対応することとしている。


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