3 年金負担問題
(増大する国鉄の年金負担)
国鉄共済組合の年金財政は,諸物価の高騰等に伴う大幅な年金改定に加えて,職員数の減少や職員の年齢構成の歪みにより成熟度(共済組合加入者に対する年金受給者の比率)が高度化したこと(58年度末103.8%)等により,51年度に単年度収支が赤字に転じて以来赤字基調で推移し,その安定化が緊要の課題となっている。この問題については,公的年金制度の再編・統合の一環として国家公務員と公共企業体職員の共済制度を統合するいわゆる共済統合法が59年4月から施行され,60年度以降国鉄共済年金の円滑な支払を確保するための財政調整事業(国家公務員等共済組合連合会及び公共企業体の共済組合が拠出する拠出金をもって国鉄共済組合に対し交付金の交付を行うこと等を内容とする事業)の実施等の措置が講じられることにより,一応の解決が図られることとなった。
一方,国鉄当局の年金負担額は,増加を続け,58年度においては,前年度15.5%増の5,415億円に達し,人件費総額の20.3%を占めるに至り,国鉄財政上極めて深刻な問題となっている。さらに,今後財政調整事業の実施に伴い追加費用(恩給公務員期間等の旧制度を引き継いだことに伴う費用)の支払方式の変更等が行われることもあり,国鉄当局の負担は,増加することが見込まれる。
年金負担の問題は,国鉄経営に大きな影響を与えるものであり,国鉄事業再建上の諸問題の一環として,国鉄再建監理委員会においても検討が行われているが,運輸省としても経営形態問題,公的年金制度の改革の方向との関連のもとに適切な対応策を検討していくこととしている。
|