2 民間設備投資
58年度の民間設備投資は,「法人企業統計季報」(資本金1,000万円以上の企業を対象・抽出)によれば,全産業で6.9%増と前年度(1.1%増)を5.8ポイント上回ったが,製造業は引き続き横ばいとなっている 〔8−2−3図〕。また,資本金階級別にみると,資本金10億円以上の企業の低迷に対し,中小企業の投資が回復している。
(2年連続減少の運輸関係設備投資)
運輸省の調査による所管事業の設備投資は, 〔8−2−4表〕のとおり,工事ベースで1兆3,604億5,900万円,対前年度比6.4%減と3部門とも落ち込み2年連続の減少となった 〔8−2−5図〕。
部門別にみると,投資総額の8割強を占める運送業部門では対前年度比5.3%減と前年度に引き続き減少となった。
業種別にみると,国内旅客船業,航空運送業,通運業,トラック運送業が増加し,民営鉄道業が横ばいであるのに対し,港湾運送業,外航海運業,内航海運業,倉庫業,ハイヤー・タクシー業,バス業で減少した。このうち,前年度落ち込みをみせた航空運送業は,航空機等に対する投資増により46.4%増となり,トラック運送業は自動車,建物等に対する投資増から20.1%増と2年連続して増加した。一方,外航海運業は専用船,油送船等の船舶建造等の減少から34.4%減と2年連続の減少となった。また,投資動機別では合理化・省力化投資が大幅に増加した。
製造業部門は,対前年度比14.8%減と前年度の増加から一転して各業種とも減少となった。
その他部門は前年度比11.1%減で,港湾建設業が1.2%増となったほかは,ホテル業が3年ぶりに減少に転じたのをはじめ全て減少した。資本金階級別では1億円以上の企業の投資が減少した。
(合理化・省力化投資が大幅増)
資本金階級別にみると,資本金1億円未満の中小企業は対前年度比4.3%増と増加になったのに対し,資本金1億円以上の企業は対前年度比7.3%減となり,引き続き大企業の投資手控え傾向が目立っている。
投資動機別にみると,合理化・省力化投資は58.2%増,能力増強投資は13.6%減となっており,能力増強投資の全体に占める率は,前年度に比べて4.1ポイント減の48.3%となった。
資金調達内訳を支払いベースでみると,内部資金が対前年度比1.0%減,外部資金が9.6%減となり,投資総額に対する割合は,前年度に比べて内部資金が2.0ポイント増の36.0%,外部資金は2.0ポイント減の64.0%となった。外部資金のうち,民間及び政府金融機関の占める率は68.3%と依然大きく,社債による資金調達が増加した。
(59年度計画では0.2%増)
また,59年度設備投資計画は,運輸業部門では対前年度比1.6%増,製造業部門は同1.2%減,その他部門は同12.4%減で,全体としては58年度実績に比べ0.2%増と3年ぶりに増加の計画となっている。
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