2 新海洋秩序への対応


 (海洋法条約を24の国等が批准)
  海洋の開発・利用の前提となる海洋秩序については,昭和57年に採択された「海洋法に関する国際連合条約」(以下「海洋法条約」という。)により,新たな基本的枠組みが形成されようとしている。
  海洋法条約は,領海,200海里排他的経済水域,大陸棚,海洋環境の保護,深海底開発,国際海峡の通過通航等,運輸省の所管している行政に深く関わるものであり,運輸省は,同条約の批准に備えて,関係所管法令の見直し,行政運営体制の整備等を積極的に推進している。なお,同条約は,60の国または地域が批准または加入した後1年を経過した時点で発効することとされているが,60年9月30日現在の署名数及び批准数はそれぞれ159及び24である。
 (管轄海域確定のための調査の実施)
  海洋法条約の下でその当事国は,200海里排他的経済水域や大陸棚において漁業,資源開発,海洋調査等に関する主権的権利等を有することになり,我が国の権益を確保するため,管轄海域の範囲の確定が必要となる。
  このため,管轄海域の基線となる低潮線等の詳細な調査を実施するとともに,大陸棚の範囲の確定及び海洋の開発・利用等に資するため,ナローマルチビーム測深機等を装備した大型測量船「拓洋」により,59年度は,南高鵬海山付近等3海域において調査を行った。
  また,相対国との中間線等を確定するためには,世界測地系に基づく我が国の正確な位置を求める必要があり,従来より測地衛星ラジオスのレーザー測距観測を行ってきているが,さらに,61年度にH-Iロケット試験機により打上げ予定の測地実験機能部 〔1−5−1図〕を利用して,本土及び離島の位置関係を高精度で求めることとし,60年度から離島で用いる可搬式レーザー測距装置の整備に着手した。


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