3 我が国造船業の長期的対策について


 (造船業の安定的発展に向けて)
  我が国造船業が直面している未曾有の長期不況に対処するため,種々の経営安定化対策を講じてきたが,現在においても依然として次のような問題を抱えている。すなわち,
 @ 大型船を中心とする需要の激減に伴い,大手は大型船,中手は中小型船を建造するという市場の棲み分け構造が崩壊し,大手への集中度が低下したことによる競争の激化
 A 長期的にみても,相当の過剰供給力が存在すること
 B 企業業績の悪化に伴う賃金水準の低下,研究開発投資の停滞,高齢化の進行,生産性の低迷等による国内産業における劣位化の進行
 C 西欧造船諸国との摩擦や,韓国をはじめとする第三造船諸国との競争の激化等である。したがって,格段の対策を講じることなく現状のまま推移すれば,我が国造船業は国際競争力を喪失すると同時に,徐々に衰退の道をたどるおそれがある。
  このため運輸省としては将来とも造船業を安定的に発展させていくため,@造船企業,造船所の集約化等産業体制の改善,A生産設備の自動化,生産工程の合理化,建造方式の合理化による生産性の向上,B専門化・集約化等による舶用工業の体質改善,C将来のニーズに対応した造船技術の高度化のための技術開発の推進等を図るべく,長期的視点に立った施策の策定の検討を進めている。


表紙へ戻る 次へ進む