3 輸送を核とした他分野への進出


(1) 引越輸送

 (総合的生活産業への展開)
  トラック運送事業者は,引越輸送の分野において,引越輸送用バン,専用荷役機器・梱包資材等を導入するなどにより,従来からの輸送サービスの向上を図るとともに,家具類の防虫・消毒処理,不用品の廃棄,冷暖房器具の取付け,電気・水道等に係る契約手続の代行など生活空間の移動に伴って発生する荷主の多様なニーズに応える質の高い付帯サービスを加味することにより,その成長を図っている。
  引越輸送全体の需要は,世帯移動件数が減少傾向にあること等から今後,重量ベースでは急激な増加は見込めないが,消費者が煩雑な作業を自ら行うことを避け,有料であってもサービス産業に委ねるという最近の生活意識の変化を勘案すると,トラック輸送を核とする引越産業は,今後とも家具類の提供,インテリアデザインなど高付加価値を生じる付帯サービスの一層の拡大を図り,利用者の生活空間の移動に関する総合的な生活産業として成長することが十分に可能であると考えられる。
 (消費者保護の充実)
  ところで,引越輸送の中で付帯サービスのウェイトが高まり,またその内容が多様化するにつれ,引越輸送に関する付帯サービスの内容及びその料金の明確化を図ることが必要となっている。このため,社団法人全日本トラック協会を通じ引越輸送の運賃・料金に関する見積り内容をわかりやすくした標準見積書を作成し,その普及を図っている。さらに,引越輸送のサービスの実態に即した標準運送約款を定め,契約関係の適正化,明確化を図る必要があり,59年度に現行標準約款の問題点及び引越輸送に係る標準約款の概案をとりまとめたところであるが,今後さらに検討を進め,61年度を目途に最終案を得ることとしている。

(2) 無店舗販売

 (トラック運送事業者の無店舗販売への進出)
  カタログや新聞広告による通信販売を中心とした無店舗販売は,従来の店舗販売に対して,立地に依存しないこと,時間的な制約が少ないこと,あるいは消費者との直接取引により比較的流通コストが低いこと等の理由により,近年成長しており,産地直送便に代表されるように,宅配便を扱う大手のトラック運送事業者の参入が活発化している。
  トラック運送事業者は,物流ネットワークと情報ネットワークを連携させた新しいサービスとして無店舗販売に取り組んでおり,自ら又はその子会社が無店舗販売を行う場合と他の無店舗販売を行う企業と提携関係を結び,自らは物流事業者として商品の在庫管理から代金引換えまで含んだ総合的なサービスを提供する場合とがある。
  物流事業者は,物流ネットワークと情報化を武器として異業種との提携や関連事業分野への進出と事業分野の拡大を図っているが,無店舗販売はその柱のひとつになるものと考えられる。


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